2024年6月19日、クレディセゾンの株主総会が開催されました。その会場にはスルガ銀行不正融資被害者たちが数多く詰めかけ早朝から会場前でデモを行いました。被害者たちは「業務改善命令が解除されていないスルガ銀行と業務提携を組んでそれを背負う覚悟があるのか?」「スルガ銀行と業務提携を組んだからには責任をとるべき!それができないなら解消するべき!」という強いメッセージを発信していました。
当日は会場となったホテル前や金融庁の前でもスタンディングデモが開催されました。被害者にできるのは株主総会のような対話の場に参加する、デモを行うことで自らの意見を発信することしかできません。その声がスルガ銀行やクレディセゾン、金融庁や社会に届くことを信じて被害者はデモを行っているとのことでした。
クレディセゾンに向けた10個の株主提案
スルガ銀行の不正融資被害者たちは、クレディセゾンの株式を購入し、株主総会に参加しているようです。また、ただ参加するだけではなく、被害者同士で連携しクレディセゾンの経営を憂う10個の株主提案を提出しています。
<株主提案(第4号議案から第13号議案まで)>
第4号議案 定款の一部変更の件(イメージアップ対策室設置について)
イメージアップ対策室を新設し、定款にその役割と権限を明記する。
第5号議案 定款の一部変更の件(不動産ファイナンス共同展開の一時停止について)
スルガ銀行との不動産ファイナンス共同展開は、業務改善命令の解除まで一時停止する旨を定款に定める。
第6号議案 定款の一部変更の件(スルガ銀行への不正融資問題解決の要請について)
当社はスルガ銀行に対し、一定期間内に不正融資問題を解決するように要請する。これを資本提携継続の必須条件とし、定款にその旨を明記する。
第7号議案 取締役解任の件
以下の取締役を解任する。
取締役 加藤 広亮
第8号議案 定款の一部変更(取締役の通算在任年数上限設定について)
取締役の通算在任年数を20年とし、それを超える場合は退任することを定款に定める。
第9号議案 取締役の解任の件
以下の取締役を解任する。
代表取締役会長CEO 林野 宏
代表取締役(兼)社長執行役員COO 水野 克己
第10号議案 定款の一部変更の件(資本業務提携に関する情報開示と検証について)
情報開示室を新設し、資本業務提携に関する情報を株主に開示する旨を定款に定める。
第11号議案 定款の一部変更の件(資本業務提携企業管理監督室設置について)
「資本業務提携企業管理監督室」を新設し、資本提携企業の業務改善命令の履行を監督する旨を定款に定める。また、監査役会に専任監査役を任命し、監査役会の機能を明確化する旨を定款に定める。
第12号議案 定款の一部変更(デモ対策室の設置について)
デモ対策室を設置し、定款にその役割と権限を明記する。
第13号議案 定款の一部変更の件(役員報酬の個別開示について)
取締役及び執行役員の報酬・賞与その他職務遂行の対価として当社から受ける財務上の利益は個別開示をする旨を定款に定める。
いずれの提案も却下された結果となりましたが、スルガ銀行不正融資被害者が株主提案を行って働きかけるものです。
参加者からの厳しい質疑応答と役員の苦笑

クレディセゾン株主総会前で抗議活動を行うReBORNsの冨谷皐介氏
株主質問:クレディセゾンさんに聞きたいことがあります。なぜ、あなた方は顧客の預金を着服した地方銀行と業務提携するのですか?スルガ銀行の着服は発覚しているだけでも2018年と2022年に2度起きています。「遊ぶ金欲しさ」等を理由に顧客預金から1億6500万、5700万円も着服しています。なぜ、そんな銀行と業務提携するのでしょうか?
株主質問:シェアハウス事件やアパマン不正融資など多数の問題を起こしていて、金融庁から業務改善命令を受けて5年以上も解除されていない、それに対してスルガ銀行は適切な対応をしていない。被害者の内科医はそれによって自己破産をせざるを得なくなった。クレディセゾンの本社がある池袋サンシャインでは断続的にデモが行われている。それは問題を解決しようとしないから、解決してないからせざるを得ない。それにより当社のイメージが悪くなっている。SNSの投稿などにもそれは上がっている。クレディセゾンは今までは本当に素晴らしい会社だった、社会に受け入れられているイメージの良い会社がスルガ銀行と業務提携したことの重要性を考えてもらいたい。
こうした追及に対して、クレディセゾン側は「スルガ銀行の過去や現在、それらを十分に検討した結果業務提携をすることにした。」「クレディセゾンはスルガ銀行不正融資問題の当事者ではない。スルガ銀行が自力解決を図る問題」などと回答を行った。
被害者同盟側は林野宏会長兼CEO(最高経営責任者)の答弁を繰り返し求め、会場では「林野コール」がまき起こったが受け入れられませんでした。代わりに対応した高橋直樹副社長には「役不足だー」などの声も会場から上がり高橋直樹副社長は顔を真っ赤にして「静粛に!!」と怒鳴るような場面もありました。
対応にあたったクレディセゾンの高橋直樹副社長は、提携後に株価が上がったなどのシナジー効果を説明しましたが、スルガ銀行の社会的な責任に関しては、我関せずの姿勢でした。