More

    大家さんの敵?味方?不動産アリバイ会社を知っていますか?

    タワマンの価格が高騰し築20年でも5000万以上の物件が珍しくない不動産高騰の時代です。家賃にして25万でも借りることが難しい物件が多数あるわけですが、家賃は月収の25%から30%が適正という基準からすると手取りで100万越えの年収が必要になるわけです。

    当然、入居には審査が必要で、身元が堅い共働きサラリーマン世代や会社経営者が住んでいるイメージなんですが、世の中、給与水準はそんなに上がっていないはずです。高額所得者が賃貸のタワマンにそんなに住むものでしょうか?そんなに払えるなら買うんじゃない?と疑問もあります。

    都内の不動産事情に詳しい不動産関係者(ここではAさんとしましょう)と雑談をしていた際に、この辺のタワマンの賃貸ってだれが住んでるんですか?と尋ねると「水商売や風俗とかの夜の職業の人もそれなりに住んでるんですよ」と明かしてくれました。

    なんだかちょっと興味が湧いて来たので少し詳しく話を聞いてみました。

    ***

    タワマン入居者の大半は転勤系だが、、

    Aさん:正直なところ、都心に林立するタワマンの大半は賃貸用ではなく販売用マンションなので、空き物件の数はそんなに多くありません。特に3月の繁忙期は午前にSUUMOに乗せて、午後に内見なしで申しこみが入ることもあります。そうすると掲載終了前に立て続けに問い合わせが入るほどです。人気のエリアはそれだけ動きが早いです。

    投資と詐欺編集部:どんな人が多い印象ですか?

    Aさん:3月の繁忙期は特にですが、転勤や転職で職場が変わる人が多いです。そのあたりは一般的な賃貸物件と同じです。ただ家賃が高いので、審査は厳しくなることが多いかもしれません。信販系の家賃保証会社を入れたり、収入証明の提出を求めたりですね。

    ただ良い物件でも投資家の方が割高に出している場合、やはり決まりにくくなります。また海外系のオーナーさんや複数物件もっているオーナーさんや、買い替えで早く賃貸に回したい個人オーナーさんなどさまざまなニーズの方がいらっしゃいます。そういった物件はあえて審査が緩い家賃保証会社を使ったりするケースもあります。そういった物件にはちょっと雰囲気が違う方が入っている場合もあります。

    投資と詐欺編集部:雰囲気が違うというと、どんな感じですか?

    Aさん:都内だと新宿、渋谷、池袋、上野といった歓楽街からタクシーで10分圏にあるタワマンは夜の仕事の方でも特に稼いでいる人が普通に借りています。豊洲や有明は銀座や新橋から車で10分ちょっとです。それにペット可の物件も多いので、安定的に稼いでいる夜の仕事の方は結構お住まいです。

    投資と詐欺編集部:でも審査が厳しいんですよね?夜の仕事の方は審査に通るんですか?

    Aさん:夜の仕事の方々は大半が自営業者です。稼いでいても確定申告していない人もいます。そうした方々は普通の形で審査を申し込んでも、家賃保証会社の審査には通りません。また、まだ20代にも関わらず、年収が高すぎて審査に落ちる場合もあります。

    投資と詐欺編集部:全然想像がつかないんですが、そういう夜の仕事の方々はどんな方法で家を借りているんでしょうか?

    夜職のおうち探しに強い専門不動産者さん

    Aさん:実は『夜の仕事でも審査通過率100%』などを謳う不動産会社がありまして。きちんと宅建士もおり、免許を持って営業しています。正規の不動産屋ですが、相談時に記入する申込書に「源氏名」という項目があったり、務めている店舗や系列店を記載する欄があったりと夜の仕事に特化しているんです。案内する営業担当も夜の匂いがする女性が多いですね(笑)

    投資と詐欺編集部:源氏名ですか、、。源氏名がない一般の人はどう記入するのか気になるところです(笑)そういう夜の仕事が強い不動産屋さんたちはどういう形で集客しているんでしょうか?

    Aさん:「(支払い遅延、踏み倒しで)クレジットカードがブラックの人でも家を借りることができる」「夜の仕事でも家を借りられる」という謳い文句がサイトに掲載されているのと、同じ夜の仕事の人同士の口コミで集客しているようですね。

    投資と詐欺編集部:なぜその不動産屋さんは夜の仕事の方に物件をあっせんできるんですか?

    Aさん:審査が緩い管理会社や家賃保証会社を熟知しているのと、集約した独自のDBを持っているようですね。入居者の方が、女性でやたら若いのに年収が高い上に、転職したてという説明でも入居できるように在籍確認の電話があっても対応してくれたり、入社証明書を出してくれる協力会社も持っています。

    夜職の嘘に協力する「アリバイ会社」の存在

    投資と詐欺編集部:どんな会社が協力しているんでしょうか?

    Aさん:入居者がちゃんと話せるように人柄を見極めているようで、人によってエステ・マッサージサロンだったり、ウェブ系の会社だったりするようです。若い人でも高額の年収があってもおかしくない業種の会社を複数用意しているようです。いわば入居希望の夜の仕事の人のアリバイ作りに協力してくれるアリバイ会社を抱えているんです。

    投資と詐欺編集部:まあ嘘をついているわけですよね?ばれないんでしょうか?

    Aさん:3月の繁忙期は午前にSUUMOのような不動産サイトに掲載して、午後に内見なしで申しこみが入ることもあります。そうすると掲載終了前に立て続けに問い合わせが入ります。申し込みを入れてから内見して問題無ければ入居となります。人気のエリアはそれだけ動きが早いです。うちは売買もやっていますが賃貸管理の部門が強いので、いろいろな会社から電話がかかってきます。不動産業界はご存じのように古い業界ですし、不動産仲介の会社も多いです。馴染みの会社でなくても電話で仲介してきますので、何回か取引があれば別ですが、どこの会社かいちいち覚えていられません。

    投資と詐欺編集部:実際それでタワマンに住める夜の仕事の人もいるという事ですね。

    Aさん:仕事柄いろいろな時間に豊洲や有明にいるのですが、夕方になるとタワマンからタクシーで出かけていく若い女性をよく見かけます。華がある外見の方が多いですね。

    投資と詐欺編集部:ニーズがあって実績もあるということは理解しましたが、不動産屋さんや不動産オーナーにとって、そういうアリバイ会社を使う夜の仕事の方はどういう位置づけですか?やはり迷惑ですか?

    Aさん:本音と建前で大きく違ってくるのですが(笑)、空室が長く続いているオーナーさんにとってはいいお客さんなのではないかと思います。タワマンは現状、人気です。それでも埋まらないという事は、賃料が高すぎるか、タワマンに求められる魅力に欠ける物件という事です。眺望が悪いとか、狭いとか、音が案外響くとか、エレベーターが狭く台数が少ないとか。タワマンは高額な資産ですが、必ずしも不動産として魅力がある物件ばかりではありませんから。

    投資と詐欺編集部:なるほど、ニーズがあるから商売が成り立っているという側面もあるんですね。

    Aさん:家賃保証会社が滞納リスクを負ってくれるので、家賃保証会社が受け入れられるリスクの範囲であれば、私はいいお客さんだと思いますよ。多かれ少なかれ、いろいろな人がいるので、家賃を払ってくれて、近所に迷惑をかけないでいてくれるのであれば、みんなお客さんだと思います。

    ***

    知らない不動産オーナーの方も多いだろうアリバイ会社に関して詳しく取り上げてみた。とんでもない商売だ、詐欺だ!と憤慨する方もいれば、必要があるから商売が成り立つと納得できる方もいる話だろう。だが入居者と大家の人情が途絶えた現在の不動産賃貸市場でしっかりと根付いているビジネスのように感じた。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

    Related articles

    Comments

    Share article

    spot_img

    Latest articles

    Newsletter