More

    スルガ銀行不正融資事件 専務取締役兼営業本部長 O氏への尋問

    スルガ銀行の専務取締役兼営業本部長を務めたO氏への尋問が行われた。シェアハウスローン問題に関する同氏の関与や、営業現場の管理体制などについて、詳細な質疑応答が交わされた。O氏は営業本部長として、スルガ銀行不正融資の指揮を執ったと目されるA生氏の上司にあたる人物だ。

    O氏の役職と権限について

    専務取締役と営業本部長の役割の違いは不明確

    O氏は営業本部長として、スルガ銀行不正融資の指揮を執ったと目されるA生氏の上司にあたる人物。当然、シェアハウスローンや不正な融資に関する責任を取るべき立場にある。しかし証言では終始自分は現場に関与しなかったというスタンスを貫いた。

    「A生氏が副社長に直接シェアハウスなどの件で報告を行っていることは、レポートラインに異常があったとは思わなかったのか?」と質問された際も「経営層からの特命案件に関しては、当人に直接報告する。特段違和感はなかった」という形で応えており、責任を回避しようとする姿勢が垣間見えた。

    シェアハウスローンのリスク認識なし、会議にも不参加

    シェアハウスローンについて、O氏は「この時点でシェアハウスの案件について何らかのリスクを認識していましたか」との弁護士からの問いに「しておりません」と即答。リスク分析の必要性についても「なかったです」と述べるにとどめた。また、シェアハウス関連の会議にも不参加だったと答え、その理由は「実務は部下に任せていた」と関与を否定している。

    営業現場の管理・監督について

    部下との関わりは希薄、営業ノルマの設定は「伝統」と説明

    営業現場の管理について、部下であるA生氏との関わりを問われたO氏。その際にも「A生氏については東京のスルガビルの4階におりまして、私は6階に営業本部長として勤めておりました。A生氏は大体週に1度、月に3回4回ぐらい業績報告があったので、その時にA生氏とコンタクトをすることがございました」と淡々と説明。A生氏のマネジメントについては週に1回打ち合わせする程度として、深い関与はなかったと証言している。

    さらに営業ノルマについて問われると、「当社は伝統的に高い目標値をマーケットがあるところ、できる社員のところに、そういうものをやってトライさせるという意味で、伝統的にやっておりました」と回答。ノルマ未達時のペナルティは「ありません」とのことだった。行内の営業優位の風土については「営業優位だっていう風に言われるきらいが強いとはいえ、社員の優秀者表彰の時には極力営業優位になるような表彰をせずに、事務系の人間とかいろんな人間を脚光を浴びさせようというような表彰制度で、その中で社員にはそういう風にあの極力努力してたと思います」と、実態との乖離を否定した。

    弁護士から無理な融資営業や審査への干渉の要因となったパワハラ行為の存在に関して認識を問われた際も「パワハラ行為に関しては認識しておりません。厳しい指導はあったと思いますが、パワハラの社内通報制度の窓口にも届け出はありませんでした。」と答えている。終始淡々と回答していたO氏だが、この際は感情が入ったやや慌てた様子だったように見受けられた。

    審査体制への関与:融資案件の決裁には関与せず、審査体制の不備も浮き彫りに

    審査体制に関して、O氏は融資案件の決裁への関与について「関与しておりません」と即答。営業部門と審査部門の関係性についても、「審査部門に対して営業部門の方が発言力が強いとか、そういったことはありましたか」との問いに「ないです」と言い切った。原本確認の方法と体制については、「所属長が原本を自分でご覧になる場合というのは、その表現でいうとプレーイングマネージャーというというふうに表現してますが、つまりご自分が単独でそういう案件は自分で見るということもありますし、所属長が自分で確認をするということであれば、それはそれでいいということです」と説明。所属長の裁量に任せる体制だったとしている。

    審査の簡素化や不正への対応について:原本確認の簡素化で不正の懸念も、ペナルティの説明は制度の紹介にとどまる

    自己資金関係書類の原本確認に関する通達について問われたO氏は、「この通達以前から行っていた所属長の原本確認済みの写しを審査部に提出するというのを不要としました」と回答。通達の理解は示したものの、原本確認の簡素化が不正を招く懸念については言及を避けた。

    原本確認をしなかった場合のペナルティについては、「通常は審査部がそれを発見して、それを事務リスク委員会に載せるんですね。でその事務リスク委員会には人事部も含めて各役員がそれを検討して、査定を減額するというような処分をして、その旨を人事部の方からこういう理由で査定が減額したというような明細もつけて示してたと思います」と制度の説明にとどめた。

    専務取締役兼営業本部長としての責任の所在は依然不明確

    尋問でのO氏の証言からは、シェアハウスローン問題に関する認識の薄さ、営業現場の実態把握不足、審査体制の不備など、専務取締役兼営業本部長としての責任の所在があいまいになっている印象を受けた。スルガ銀行不正融資事件の全容解明には、経営層の関与や組織的な問題についてさらなる調査が必要だろう。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

    Related articles

    Comments

    Share article

    spot_img

    Latest articles

    Newsletter