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金融庁が警告する違法金融業者の実態 – 巧妙化する手口と被害防止策

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金融庁が警告する違法金融業者の実態 - 巧妙化する手口と被害防止策
金融庁が警告する違法金融業者の実態 - 巧妙化する手口と被害防止策

金融庁が令和6年4月に更新した「違法な金融業者にご注意!」は、消費者金融市場における深刻な問題を浮き彫りにしている。近年、従来のヤミ金融に加えて、SNSやインターネットを悪用した新たな手口が次々と登場し、多くの消費者が被害に遭っている現状がある。

急増する違法金融業者の被害

現在、日本全国で違法な金融業者による被害が急速に拡大している。金融庁の調査によると、これらの業者は「低金利で融資」「他店で断られた方でもOK」といった甘い言葉で消費者を誘い込み、特に経済的に困窮している人々をターゲットにしている。

最も深刻な問題は、一度でも違法業者から借入れをしてしまうと、業者間で顧客情報が共有され、次々と別の悪質業者からの勧誘を受けることになる点だ。これにより、被害者は悪循環から抜け出すことが極めて困難になってしまう。

法的基準を無視した悪質な貸付け

貸金業を営む者は、財務局長または都道府県知事の登録を受けることが法律で義務付けられている。しかし、違法業者の多くは無登録で営業しており、中には架空の登録番号を使用したり、正規業者の登録番号を詐称したりするケースも確認されている。

さらに深刻なのは金利の問題である。出資法では上限金利を年20%と定めているが、違法業者は「10日で3割、5割の利息」「3万円借りて7日後に1万円の利息」といった法外な金利を要求している。これらの金利は明らかに出資法違反であり、刑罰の対象となる行為だ。

巧妙化する新手の詐欺手法

近年特に問題となっているのが、従来のヤミ金融とは異なる新しい手口の登場である。

ファクタリング詐欺では、売掛債権の買取りという正当なビジネスを装いながら、実際には高額な手数料を差し引いた貸付けを行っている。表面上は売買契約に見せかけているため、被害者が詐欺だと気づくのに時間がかかるという特徴がある。

SNS個人間融資は、ソーシャルメディアを通じて個人同士の貸し借りを装う手口だ。しかし実際には、個人を装った業者が反復継続して違法な高金利での貸付けを行っており、被害者の個人情報が悪用されるリスクも高い。

後払い現金化は、商品を後払いで購入させ、SNS投稿への報酬という名目で商品代金の支払い前に現金を渡す手法である。一見すると商品売買のように見えるが、経済的実態は貸付けであり、その後の高額な支払いにより被害者は多重債務に陥ってしまう。

先払い買取現金化では、商品買取りの申込みをさせて代金を先払いし、後に買取り不成立として違約金を請求する。この手法も表面上は商品売買を装っているが、実質的には違法な貸付け業務である。

執拗で悪質な取立ての実態

違法業者の最も恐ろしい側面は、返済が遅れた際の取立て方法にある。これらの業者は借入れの際に、本人の住所や勤務先だけでなく、親族の連絡先まで詳細に聞き出す。そして少しでも返済が遅れると、脅迫的な電話を本人だけでなく勤務先や親族にもかけ続け、精神的に追い詰めていく。

この手法により、被害者は周囲との人間関係を破綻させられ、社会的な孤立状態に追い込まれてしまう。結果として、違法な高金利での借入れを継続せざるを得ない状況に陥り、経済的な破綻に至るケースが後を絶たない。

被害を防ぐための具体的な対策

違法業者の被害を防ぐためには、まず業者の登録状況を必ず確認することが重要である。疑わしい場合は、主たる営業所等の所在地を管轄する財務局または都道府県の貸金業担当課に問い合わせ、登録の有無を確認する必要がある。

金利についても、年20%を超える利息は出資法違反であることを理解し、借入れ前に必ず利息計算や返済方法について詳しく説明を求めることが大切だ。具体的できちんとした説明ができない業者からは、絶対に借入れをしてはならない。

また、電話やFAXによる借入れは手軽に見えるが、違法業者の可能性が高いため十分な注意が必要である。特に遠隔地からの融資の誘いには、決して応じてはならない。

契約書の受取りも重要なポイントである。正規の業者であれば必ず契約書を交付するが、違法業者は契約書を渡さないケースが多い。契約書を渡さない業者からは絶対に借入れをせず、もし契約書を受け取った場合でも、署名・捺印する前に契約内容を十分に確認し、不明な点があれば納得するまで説明を求めることが重要だ。

被害にあった場合の対処法

万が一違法業者の被害にあってしまった場合は、まず証拠の保全が重要である。契約書や業者とのやり取りの録音データなど、犯罪行為を立証するための証拠をしっかりと保管しておく必要がある。

その上で、金融庁や各財務局の相談窓口、消費者生活センターなどの専門機関に速やかに相談することが大切だ。一人で悩んでいても状況は改善されず、専門家のアドバイスを受けることで適切な解決策を見つけることができる。

悪質な取立てが行われている場合は、警察への相談も検討すべきである。脅迫や恐喝に該当する行為については、刑事事件として対処される可能性もある。

社会全体での取り組みが必要

違法金融業者の問題は、個人の注意だけでは完全に解決できない社会的な課題である。金融庁をはじめとする関係機関は、違法業者の摘発を強化するとともに、消費者への啓発活動を継続的に行っている。

しかし、業者側も手口を巧妙化させており、いたちごっこの状況が続いている。特にインターネットやSNSを悪用した新しい手口については、技術の進歩とともにさらに複雑化していく可能性が高い。

そのため、消費者一人ひとりが正しい知識を身につけ、甘い誘惑に惑わされることなく、冷静な判断を下すことが何よりも重要である。また、周囲に困っている人がいる場合は、適切な相談機関を紹介するなど、社会全体で被害防止に取り組む姿勢が求められている。

違法金融業者による被害は、一度巻き込まれると長期間にわたって深刻な影響を与える可能性がある。だからこそ、事前の予防策を徹底し、正規の金融機関のみを利用することが、自分自身と家族を守る最も確実な方法なのである。

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