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    『総会会場には入れないけれど、仕事を休んでデモに参加します』全国から沼津に集まるスルガ銀行不正融資事件の被害者たち(株主総会当日レポート前編)

    2022年6月29日(水)、スルガ銀行は本店のある静岡県沼津市で株主総会を行いました。直前までスルガ銀行不正融資事件被害者による株主提案を受け3万人を超える株主に代表取締役解任を含めた『不正融資事件が依然、未解決であること』を責める株主提案が記載された招集通知を送ることになったり、総会会場への入場を抽選制にしたことで、株主総会の開催差し止めを求める仮処分申請をめぐって被害者団体と対立したりと、波乱含みのスタートとなりました。

    投資と詐欺編集部では、大きく揺れるスルガ銀行の株主総会を取材するべく前日から沼津入りし、スルガ銀行に抗議の意思を表明するスルガ銀行不正融資事件の被害者団体「スルガ銀行不正融資被害者同盟」に密着取材を行いました。

    早朝、ごみ拾いを行う被害者たち

    朝7時。JR沼津駅周辺ではSI(スルガ銀行不正融資事件)被害者たちが町の清掃活動を行う姿が見受けられました。

    清掃活動を行うSI被害者たち

    SI被害者同盟広報によると、「この活動は毎年行われる恒例行事」とのことで、「被害者同士の交流と沼津の街をきれいにしたいという思いと、おそろいのTシャツを着ていることで通勤者にSI被害者の活動をアピールするためから、誰かが言い出したものではなく、SI被害者たちが自発的に行っています」ということでした。政治的信条や報酬のためではなく、いままさに進行中の被害からの回復を訴えるために、平日仕事を休み、全国から数百人が集まりスルガ銀行の本店がある沼津駅を清掃する姿は、穏やかながら、非常に印象的でした。

    抗議のスタンディングデモ

    朝8時。清掃活動を終了したSI被害者たちは、スルガ銀行株主総会が行われるプラサヴェルデ前に集合し、おそろいのTシャツを着てスタンディングデモを開始しました。Tシャツには「私たちはスルガ銀行の不正融資被害者です!」「スルガ銀行不正融資被害総額1051億円」「スルガ銀行は不正融資被害者の声を聞いて!」「私たちはスルガ銀行をまともな銀行にしたい」といった言葉が印刷されています。スタンディングデモは、無言で行われました。スルガ銀行不正融資被害者たちはアパ・マンにおける不正融資の被害回復が遅々として進まないため、株主としてスルガ銀行株を保有し、直接経営者に株主総会で対話をもとめていました。彼らの主張は株主提案という形で10か条にまとめられて提出されましたが、スルガ銀行側はすべて反対を表明し採用されることはありませんでした。

    平日の通勤・通学の時間帯、駅前には多くの学生やスーツ姿の人々が行きかっている中、無言での静かなデモが続きました。1時間以上のスタンディングデモが終了する頃、被害者団体の弁護を務めるSI被害弁護団や、株主総会に参加する株主と思われる人々の姿が現れ始めました。天気は快晴。異常気象ともいえる酷暑で日中の最高気温は36度を超えています。

    おそろいのTシャツで横断幕を持つSI被害者たち

    スタンディングデモ参加者の中には株主総会への参加者も含まれています。総会への出席のためスタンディングデモは終了となりました。今回の株主総会は、既出の通り、事前登録での抽選制が採用されています。そのため、株主総会に参加するSI被害者を、参加できない被害者たちが見送る一幕もありました。

    スルガ銀行本店前でのデモ抗議

    スルガ銀行本店

    午前11時過ぎ、スタンディングデモの後、株主総会に参加できないSI被害者たちは、場所をスルガ銀行本店前と三島セントラル支店前に移し、二手に分かれて銀行前での本格的なデモを行いました。

    スルガ銀行本店に向かって声を届けるSI被害者

    早朝のスタンディングデモとは対照的に、スルガ銀行本店前のデモでは、不正融資を受けた被害者たちの何人もの叫び声が響きました。

    デモで掲げられた横断幕

    デモの途中で「スルガ銀行は真っ当な銀行に生まれ変われ!!」「スルガ銀行はステークホルダーのために頑張れ!!」「スルガ銀行は被害者に誠意を尽くせ!!」といったシュプレヒコールが何度も繰り返されました。

    SI被害者同盟には外国人の姿も

    こうして数百人の被害者がスルガ銀行に対してデモを行う最中に、スルガ銀行の株主総会は幕を開けたのです。

    後編では、株主総会後に行われたスルガ銀行不正融資被害者たちの行った記者会見の様子をご紹介します。会見の場で涙を流しながら被害回復を訴える姿に被害者たちの苦しみを垣間見ました。その声の一端をお届けしようと思います。(後編に続く)

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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