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「上場間近」と偽って株式市場に未公開の株に投資させる詐欺
上場すると株価は上がります。そのため未公開株を安価に手に入れて、上場したタイミングで売却できれば大きな利益を期待できます。みんなそうした知識を持っていますが、実際に未公開株を購入できるチャンスはなかなかありません。そうした「未公開株をかえたらなぁ」という投資家の夢に付け込むのが未公開株詐欺です。
存在しない企業の株を販売・・・羽賀研二未公開株事件
未公開株が買えるというとすでに存在している企業の株をイメージするかもしれませんが、よく似た企業名やすでに破綻してしまった企業の株を売りつける事件もあります。
2001年に起こった羽賀研二未公開株事件では、有名な芸能人だった羽賀研二氏が、知人の不動産会社社長に、上場間近の医療関連会社の未公開株を3億円以上で販売しました。実際はその企業はすでに経営破綻しており、羽賀氏は破綻後の会社の株を売りつけていました。
羽賀氏は「芸能人の自分だからこそ仲介できる」「ほかの人からも欲しいといわれている」「絶対損はさせない。元本保証する」などしつこく勧誘を行い、営業していたといいます。
「有名人であれば顔が広いからそういうチャンスもあるかも」と芸能人として活動した実績をもとに不動産会社社長に詐欺事件を仕掛けた羽賀氏ですが、この後も暴力団幹部に働きかけ、不動産会社社長を恐喝するなど悪事を重ねたといいます。
あなたに未公開株を進める人は信用できる人か
ベンチャー企業にとって上場は非常に大きなイベントです。創業者にとっては自分の経済的な自由や会社の成長がかかっている大きなマイルストーンです。ベンチャーキャピタルなどの出資が入っている場合は、ベンチャーキャピタルの利益確定のタイミングでもあります。その直前の情報があなたの手もとに届くのは自然なことでしょうか?
自分が実際に経営面でも深くかかわっている会社でもこうした持ち掛けはめったに来ないのではないでしょうか。よほど大きな貢献やこれからの貢献を期待されている場合以外では考えにくいはずです。また仮にこうしたオファーがあった場合は実際に自分がかかわっている関与度で話の真偽を判断できると思います。
一方で、まったく経営や事業に関与していないのにこうした話が来る場合は、注意が必要です。なぜこんなに巨額の利益を生む話が自分のところにくるのか、疑ってかかることが必要でしょう。
紹介してくれた人が信用できる人でも、この話が信用できるかは別問題です。自分が信用できるその道のプロで騙されてもチャレンジしたい場合は投資話に乗ってもよいかもしれませんが、不自然な売り込みがある場合はリスクを真剣に精査するべきかもしれません。