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    暗号通貨詐欺のリアル

    2024年11月、暗号通貨の価格相場が大きく上昇を始めています。ですがこんな時にこそ、詐欺に注意が必要です。X上で注意喚起を行う「しーさん」(@re_menkabu)は自身の体験を率直に語っています。

    驚くべきことに、詐欺師は詐欺を働くために、架空の「嘘の取引所」を作ってしーさんを罠にはめたというのです。

    SNS上で有益な情報を発信しているインフルエンサーや投資家は大勢います。大半は自分のビジネスのために行っています。多くのアカウントは、自分のスクールに誘導して売上を稼いだり、投資に引き込んだ成果報酬で報酬を得るようなアフィリエイトを狙っています。まれに純粋にお金をだまし取るためにうその情報をまことしやかに流布するアカウントも存在します。「悪魔は笑顔で近づいてくる」という西洋のことわざがあるそうですが、詐欺師集団もまさに親切で笑顔なアプローチで近づいてきます。

    「言葉巧みに人をだまし」の内実

    多くの報道では「SNS上で知り合い」「言葉巧みに人をだまし資金をかすめ取った」と伝えられるだけで、実際にどのようなやり取りがあったかは明らかにされません。しーさんはその一端をX上で共有してくれています。

    この話だけを聞くと「盗人に追い銭」という言葉を思い出してしまい、なぜそんなことをしてしまうのかと疑問を持つ人もいることでしょう。

    ですが詐欺師は狡猾です。「言葉巧みに人をだまし」と説明される部分は「現在の資産の10%の税金を先に支払わないと引き出せない」というような”いかにもありそうなルールをもっともらしく説明される”ような形で行われていることがわかります。

    自分が法律を守る人は相手もそうだと信じがち

    いかにも業界に詳しい人が、業界で著名な組織や団体の活動を語り「自分が手伝っている」というと、業界知識がある人ほど(そして常識人であればあるほど)信じてしまいます。自分が法律を守り、常識的である人は、他人も自分と同じように法律を守り、常識に従って行動すると想定して、判断してしまいがちです。しーさんも善良で法律を守り、常識をわきまえた方だったと思うのですが、まさか相手が嘘をついているとは思わなかったご様子です。

    詐欺だと気がついたきっかけ

    はじめは疑っていたしーさんですが、巧妙な手口にお金を払ってしまいます。ですがさらにお金を追加で要求するメールが来たことで、これはおかしいと気が付いたと言います。

    「利益から支払いを行おうとしたが、できなかった」ので「お金を追加で振り込まないと口座を凍結する」というのは確かにおかしな話です。

    同じようなアプローチは他の人にも送られていたようです。

    実際に取引もできる「嘘の取引所」を作ってだます手口は、決して新しい手法ではありません。それどころか何年も前から多数の被害者を出してきました。ですがまさか本当にそんなことが自分におこるなんて思わない人が大半です。詐欺師たちは仕事として、こんな面倒くさく技術的にも難しそうなことを本当に仕掛けてきます。

    しーさんは「おなじような被害にあう人を一人でも救いたい」という気持ちでこの辛い体験をSNSで公開しています。こうした手口は以前からもあり、これからもあることでしょう。詐欺の手口を知っても、詐欺師はさらに手口を発展させて仕掛けてくると思います。

    大きなリターンは大きな損と裏表。許容できる範囲を見定めて

    自分と同じ常識ではない「だますつもりで近づいてくる人」がいると念頭に置くだけで、リスク資産との向き合い方が変わってくるかもしれません。また相手にだますつもりがなくても、自由度が低い投資というのは存在します。例えば国内の暗号通貨取引所は、購入と売却はできてもステーキングや暗号通貨のウォレットへの送金に対応していない通貨があったりします。

    「損したり騙されるケースがこれくらいある」という土地勘や、「知らないと損するのは当然。こうした対策を行うべき」というメンタルやサバイバル知識・振る舞いを身に着けないうちに、巨額の資金を投じることは大きなリスクです。その分大きなリターンも狙えますが、全部失う可能性もあると考えたときに、自分が許容できる範囲を見極めて投資を行っていきましょう。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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