2025年2月13日、京都府警は他人名義のクレジットカードを不正利用したとして、神奈川県伊勢原市在住の男子高校生(17)を電子計算機使用詐欺の疑いで追送検しました。
この事件では、高校生が対話型生成AI「ChatGPT」を悪用してプログラムを作成し、約7000件のカード情報を集め、不正決済を行っていたことが判明しています。
本記事では、この事件と投資詐欺の共通点、AIを悪用した詐欺の危険性、そして対策について解説します。
目次
事件の概要:生成AIを活用したクレジットカード詐欺
1. ChatGPTを利用し不正プログラムを作成
高校生は、ChatGPTを利用して**「クレジットカード番号の有効性を確認するプログラム」を作成しました。
供述によると、「コードの作成方法が分からず、ChatGPTを使用した」とのこと。
このプログラムをテレグラムの不正グループ(約120人が所属)で提供し、カード情報を詐取**していました。
2. 組織的な詐欺グループとの関与
この高校生が所属していたテレグラムのチャットグループでは、
- 不正入手したカード情報を使いやすい店舗の情報を共有
- 定期的に情報を提供しないと退会させられるルール
といった仕組みがありました。つまり、単独犯ではなく、組織的な犯罪グループの一員として活動していた可能性があります。
3. 警察のサイバーパトロールで発覚、背後に広がる犯罪ネットワーク
京都府警のサイバーパトロールにより事件が発覚し、捜査の結果、
- 約600万円分の不正決済(うち約130万円が裏付け)
- グループの管理者(36歳無職の男)が別件で起訴
- 同グループの16歳アルバイト少年も逮捕
と、広範囲にわたるサイバー犯罪の一端が明らかになりました。
投資詐欺との共通点——AIの悪用と組織化する詐欺
近年、投資詐欺でも生成AIが悪用されるケースが増えています。今回の事件との共通点は以下の3点です。
① AIを利用した巧妙な詐欺手法
今回の事件では、高校生がChatGPTを利用して不正プログラムを開発しました。
一方で、投資詐欺ではAIを使って詐欺サイトや投資シミュレーションを自動生成する手口が増えています。
特に、
- AIを使った偽の投資アドバイザー
- 実際に存在しない企業の投資案件を生成AIで作成
といった手口が横行しています。
② 匿名性の高いSNSやメッセージアプリの利用
今回の詐欺グループがテレグラムを利用して情報共有していたように、投資詐欺でもLINE・WhatsApp・テレグラムといったメッセージアプリが悪用されています。
特に、投資詐欺では**「海外の金融機関」や「限定投資グループ」を装って勧誘**し、詐欺師が特定されにくい環境を作ります。
③ 組織化された詐欺ネットワーク
個人が単独で詐欺を行うケースは減り、詐欺グループが組織的に詐欺を行う手法が主流になっています。
今回の事件では、
- 情報共有のルールを設け、犯罪者同士で支え合う仕組み
- 詐欺を行わないとグループから追放される圧力
が存在しました。
投資詐欺でも、「一定の投資実績を示さなければグループにいられない」といったプレッシャーがかかるケースがあり、投資詐欺とクレジットカード詐欺の手口は驚くほど似ています。
詐欺から身を守るための対策
1. 生成AIを利用した不正プログラムへの対策
- クレジットカード会社のセキュリティ強化(不審決済の自動ブロック)
- 個人の対策(ワンタイムパスワードや二段階認証の活用)
- AIを活用した不正検知技術の導入
2. 投資詐欺への対策
- 匿名性の高い投資案件に注意(テレグラムやLINEで勧誘される案件は要警戒)
- 「AIが自動運用」などのうたい文句に注意(高配当を保証するものはほぼ詐欺)
- 金融庁や消費者庁の警告リストを確認(登録のない業者は危険)
3. SNSやメッセージアプリでの詐欺対策
- 「グループに入ると儲かる」という勧誘は無視
- 実績の証拠がない投資話には絶対に手を出さない
- 金銭のやり取りが発生するグループには参加しない
まとめ:生成AIの進化と詐欺の高度化に警戒を
今回の事件は、AI技術の進化が詐欺犯罪にも悪用されることを示す象徴的なケースです。
特に、
✅ AIを使ったプログラム開発が容易になったことで、未成年でも高度な詐欺を実行可能に
✅ テレグラムなど匿名性の高いSNSを使った組織的な詐欺が増加
✅ 投資詐欺でもAIを使った巧妙な手口が広がっている
といった点に注意が必要です。
投資詐欺もクレジットカード詐欺も、詐欺グループはAI技術を利用して巧妙化しています。
今後は、生成AIを活用した詐欺を防ぐための法整備や、個人のリテラシー向上が不可欠でしょう。
👉 「儲かる話」「簡単に稼げる」という誘いには、まず疑う姿勢を持つことが重要です!