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    生活保護者を狙う貧困ビジネス:アパート投資に潜む闇

    近年、生活保護受給者をターゲットにした新たな貧困ビジネスが横行しています。それは、住宅扶助制度を利用したアパート投資です。地方の空室率は20%を超えていると言いますが、周りが空き家だらけにも関わらず、地方築古アパートなのに満室稼働で家賃が相場よりも高い水準であるというのです。

    善意の活動で行われている場合もあれば、搾取するために非人権的な対応を行っている場合もあるといいます。その実態を良く知る地方の高利回り物件に詳しい投資家に話を聞きました。

    増加する生活保護受給者と住宅問題

    「日本では、失業や病気、障害など様々な理由で生活に困窮する人が増加し、生活保護受給者数は2023年8月時点で 約205万人 と過去最高を更新し続けています。生活保護受給者の多くは、住居の確保に苦労しているんですね。」と投資家Aさんは語ります。

    とはいえ、だれもかれも生活保護を受給できるわけではない。財源にもゆとりはないし、生活保護に対する社会的な批判もあるため、一般の人が生活保護を求めて役所にいっても取り合ってもらえないことも多いという。

    「そうした冷遇を一緒になって解決してくれるNPOや社団法人が一定数活動しています。玉石混交のようで、本当に善意で活動しているところもあればいわゆる貧困をビジネスにしている人たちもいるようです。一概にそれが悪いとはおもいませんが、中には怖い人たちもいるようですよ」(A氏)

    住宅弱者への支援内容

    A氏:NPOや社団法人の支援団体は、相談者と話をして、当座の寝るところやセーフハウスを用意してくれます。日を決めて市役所に生活保護の申請に同行してくれます。一人で行っても相手にしてくれなかった場合でも一緒に行けば話が通るので、相談者はうれしいし助かったとおもうと思います。ただ怖い人たちは、本人を上手く丸め込んで、田舎の方に連れて行ってしまいます。田舎の方に住民票を移すように働きかけてしまうんですね。その過程で沢山の書類にサインさせ、免許証やカード、保険証などを取り上げてしまうといいます。

    投資と詐欺編集部:なぜ田舎なんでしょうか?

    A氏:都会だと生活保護内で住居費に使える金額よりも1Rアパートの家賃の方が高いことも少なくありません。また地方の方が、アパートの物件価格が安いこと、球数が豊富なことが原因じゃないでしょうか。

    たとえば数百万円で購入し、リフォームし入居者を入れて、1千万円以上で転売できるわけです。不動産屋と組んで取り組んでいれば、リフォームでも転売でも儲かるでしょうし、不動産会社は管理も一緒におこなえばそこでも利益が出ます。また地方は自動車がないと出来る仕事がすくないです。生活保護者は自動車を買うお金がないことがほとんどです。家賃と一緒に生活支援費と称して物資を送ったり貸したりしていればそこでも差額がとれますので、その状態が長く続く面もあるでしょう。

    投資と詐欺編集部:違法性はないんですか?

    A氏:多分ないんだと思います。物件がある地元で同じことをやっている弱者支援団体から紹介された入居者を私も受け入れています。入居時に話を聞くと、夫のDVから逃げている奥さんと小さい子供とか、体を壊した40代独身男性とか、救済が必要な人も多い印象を持っています。そういう人は救われるべきですよね。で身分証などを預かるのは、合法なのか、違法なのか私にはわかりません。

    馴染みの不動産会社の担当から聞いた話では、免許証やクレジットカード、通帳などを取り上げてしまう組織もあるそうです。そうするとその人は病院にも行けません。ひどいですよね。。」

    投資と詐欺編集部:なぜあずけちゃうんですか?必要なんですか?

    A氏:そのあたりはよくわかりません。質草的にあずけているんでしょうかね。あと自由にお金を使えないように管理している側面もあるかもしれません。定期的に食料を届けたり、家賃を代わりに払ったりしてくれていても、飼われているような状態になるので、私なら絶対違う人たちに相談しようとおもうんですが、、追い詰められているから藁にもすがる思いだったのかもしれませんね。

    投資と詐欺編集部:たしかに、困っているし何とかしてほしいし、そういうもの、と説明されたら知識もないから、信じてしまうかもしれませんね。

    A氏:そういう人たちを集めて、全空だったアパートを満室にして転売すると結構もうかるんですよね。利回り15%などで販売されていて、ちゃんと入居者もいる状態です。全員無職でも生活保護が優先的に振り込まれるのであればとりっぱぐれもありません。大家的には、ぜんぜん安心できる入居者さんだとおもうわけです。

    生活保護アパート

    こうして物件として仕立てられたアパートを「生活保護アパート」と呼ぶそうです。満室になったアパートは、高利回り物件として投資家に転売されます。生活保護受給者は、家賃が高くても住宅扶助で支払いができるため、投資家にとっては安定した収入源となるのです。

    話を聞いていると取り組み自体はまっとうな部分もあるとは思いますし、活動で利益を得ても問題ない気もします。ですが、さすがに身分証や通帳やカードを取り上げられるのは搾取という印象を持ちます。

    搾取する悪質な貧困ビジネス業者の見分け方

    • 周辺の相場よりも家賃が極端に高い。例えば、同じような築年数・広さの物件と比べて、家賃が1万円以上高い場合は注意が必要です。
    • 生活保護受給者を優先的に受け入れるなど、不自然なほど条件が良い。
    • 重要書類の預かりや即決を迫るなど、契約を急がせる。
    • NPO法人や社団法人の実態が不明瞭。ホームページに情報が掲載されていない、連絡先がわからない。
    • 重要書類(免許証、保険証、キャッシュカードなど)を預かり、返却を拒否する。
    • 不当な違約金を設定したり、一方的に契約を解除したりする。
    • 退去の自由を制限する。

    生活保護受給者を支援するビジネスは、社会的に意義のあるものです。しかし、その支援活動が人権侵害に繋がると、投資家としては投資にのりだせないです。貧困ビジネスを全否定するのも違うとは思うのですが、合法であること、継続可能なビジネスになっているかは注意してみていく必要があると思います。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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