この記事でわかること
- 同一不動産を複数の買主に重複販売する二重譲渡詐欺の仕組みと先登記主義
- 不動産・動産・契約書偽造型の三つの手口パターン
- 契約後即日の登記と手付金・宅建業者確認など予防策
二重譲渡詐欺とは、同じ不動産や動産を複数の買い手に重複して販売・譲渡して代金を騙し取る詐欺です。日本の不動産登記制度は「先に登記した者が第三者に対して所有権を主張できる」という先登記主義(民法177条)を採用しており、契約だけ結んで登記をしていない間に別の買主へ二重譲渡されると、先に買ったもの主でも権利を主張できなくなる仕組みです。不動産に限らず車両・ブランド品・高額動産にも同様の手口が存在します。関連して地面師詐欺も同じ不動産登記を偽造する手口としてあわせて確認しておくと見分けがつきやすくなります。
目次
二重譲渡詐欺の仕組み
「AB二重譲渡」と呼ばれる典型例は以下の流れです。
- 売り主が不動産を買主Aに売却し、手付金や代金を受領する
- Aが登記手続きをしていないうちに、同じ不動産を別の買主Bへさらに譲渡して代金を受領
- Bが先に登記を完了させると、Aは所有権を主張できず、代金返還請求・損害賠償請求のみが可能になる
主な手口のパターン
- 不動産型:契約と登記にタイムラグがあることを悪用し、買主が登記手続をする前に同じ物件を別の買主へ「二重販売」する
- 動産型:車両や高額ブランド品を複数の買い手に売ったとして代金だけ受け取り、現物を引き渡さずに姿を消す
- 契約書偽造型:買い手ごとに異なる代金・条件の契約書を作成し、双方から受け取った代金を抑えて逃亡する
代表的な被害事例
- 中古車を100万円で買い代金を振り込んだが、同じ車が別の買い手へ引き渡されており、販売業者と連絡が取れなくなった30代男性の事例
- 不動産の手付金500万円を支払ったその週に「別の買主がすでに登記を完了した」と送り主から連絡があり、契約を失った50代夫妻のケース
- 高額腕時計をオークションで複数の落札者に単独取引して代金を集め、商品は1名にしか送らずに褐色した事例
見分けるポイント・予防策
- ✅ 契約したその日のうちに所有権移転登記を申請する。同日中に難しい場合は仮登記も検討
- ✅ 高額動産は契約同時に現物を受け取り、自分で保管・管理する
- ✅ 仲介業者が宅地建物取引業として宅建業者免許を取得しているか、国土交通省の宅建業者検索システムで確認する
- ✅ 同じ物件に複数の仲介業者が付いている、あるいは契約を急かされる場合は要注意
- ✅ 代金は必ず銀行振込・領収書付きで実施する
被害に遭ったら
- 不動産の場合は、送り主が意図的に二重譲渡を行った可能性が高いため、詐欺罪・横領罪として警察(#9110)に被害届を提出
- 契約書・領収書・振込明細・メールなどを保存し、法テラス経由で不動産・詐欺被害に詳しい弁護士に相談する
- 宅建業者が関与している場合は、都道府県の宅建業仲介窓口へ透明・明藩請求を提出する
- 宅建業者仲介の不動産取引で被害を受けた場合は不動産保証金制度による返還手続きが認められることがある
相談・通報先
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188
- 法テラス:0570-078374
- 都道府県の宅建業者仲介窓口
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