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PoW方式のマイニングの終焉が近い
PoW方式のマイニングはGPUという動画やアニメーション処理を行う部品を利用して、計算処理を行い暗号通貨の取引システムを分散型に運営します。大量の電力を使うということで環境負荷が高く課題として指摘されているため、GPUや専用マシンASICを使ったマイニングは避けられる傾向にあります。暗号通貨の流通額で世界2位となっているイーサリアムはその急先鋒で、2022年8月以降に、取引の合意形成方式をPoW方式からPoS方式に切り替えることを目指しています。
マイニング用の設備をもって、マイニングを行っているマイナーと呼ばれる人たちは、個人の趣味として取り組んでいる人たちだけではありません。法人として上場して専門のマイニング工場を設立し、専用の発電所まで用意している企業もあります(原子力発電所を作るという取り組みも構想にある企業すらあるほどです)。
こうした企業は、暗号通貨のプラットフォームが合意形成方法をPoSに変えていく過程で、ビジネス規模が縮小し、機材が陳腐化していくリスクを背負っています。
マイニング用GPUの演算能力はメタバースやゲーム、宇宙開発、ワクチン開発に活用できる
一方で、GPUなどの機材は、アニメーションや、ワクチン開発、宇宙探索など、高高度な計算を行う必要がある分野では、求められている設備です。マイニング自体がインターネットを通じて高度な計算を行うクラウド型のサービスでした。同じような発想で、学術的な計算や、産業用途のシミュレーションに設備の性能を使っていこうという取り組みが全世界で検討されています。
実際にボランティアベースでは、個人のPCの処理能力を提供して天文学の研究に役立てるなどのプロジェクトが活動しています。
クラウド型のレンダリングサービス開発を行う際の通貨として開発されているRender Tokenはまさにこうした用途のために生み出された暗号通貨です。
RNDRのスタートとなる構想は2009年にOTOY,inc.によって考案されたといわれています。CEOのジュールス・ウルバッハは2017年に暗号通貨RNDRを立ち上げ、同年10月に最初のパブリックトークンセールが開催されました。その後、2018年1月から2018年5月までの間に合計117,843,239RNDRが販売されたといわれています。当時、1RNDRは0.25米ドル相当で取引されていました。RNDRは、個人や法人の持つGPUをクラウド上で集約し、演算能力をアニメーションスタジオなどに販売するというビジネスを想定しています。そこでは、ベータノードのオペレーターとアーティストがRNDRチームと協力してネットワークの構築とテストを行い、2020年4月27日に一般公開されるまで続いたといわれています。
RNDRは、すべての演算処理が正常にレンダリングされたことを確認するために、手動と自動の両方でレンダリングの確認を行います。ブロックチェーンとしては、イーサリアムブロックチェーンと連動しており、固有のセキュリティプロパティを利用して、演算対象になるデータはアップロード時に、分散処理用にハッシュ化され、レンダリングを担当するノードに少しずつ送信されます。計算が終了すると、オペレータが手動検証を行い、品質を担保する仕組みをとっています。
悪意のある攻撃者を防ぐために、ネットワーク上でレンダリングされたすべてのアセットは、支払いが正常に支払われるまで、ウォーターマーク(透かし)が付けられ、支払いが正常に行われると、ウォーターマークのないレンダリングがダウンロードされるというプロセスをとっているといわれています。
RNDRの価格
1RNDRが0.25ドルから始まったRNDRですが、2021年11月には6ドル以上にまで価格を上げます。ですが2022年5月のルナショックなどもあって、2022年6月13日現在では、0.37ドル近辺まで下落しています。を推移しています。
PoW型のマイニングの大半を占めるイーサリアムのマイニングが終了した後には、大量の計算能力が市中に溢れます。こうした卒PoW勢を受け入れる受け皿になりえるクラウドGPU事業のプラットフォームを持つRNDRだけに、今後の活躍如何では大きな躍進を期待できるかもしれません。
クラウドGPU事業に参加できるの?
RNDRのサイト上では、マイニングと同じような形で、クラウドレンダリング事業に参加するための説明も存在します。詳細な機材の性能要件は別途説明されていますが、簡単にいうと
・OSはWindows環境(exeファイルで専用ファイルが配布される様子)
・NVIDIA社のGPUで、最低でも6GB以上(できれば8GB以上の) VRAMを備えていること
・PCとしては32GB以上の メモリ(RAM) を備えていること
・ネットワーク環境が大容量データのやり取りに対応していること
・100GB以上のディスク容量を備えているハードディスクやSSDなどの記憶装置を備えていること
・RNDRはCドライブを利用するため対応が必要
という要件があるようです。通常のPoW型のマイニングとは異なり、マイナーが自分で独自にマイニング用ソフトや設定を行うことはできません。事前に運営に申請し、順番がきた(または要件に合格した)対象者に対して、運営から専用ソフトウェアが配布される仕組みになっています。
逆にクラウドGPUをサービスとして利用できるの?
自分がGPUをクラウドで利用したい場合、会員登録を行い、実際に利用することができます。そうです、実際にこのサービスはローンチ済みで利用できるサービスになっています。
アニメーションや高度なシミュレーションなどの演算に利用できるということは、今後ゲームやメタバースなどの、3Dアニメーションを利用した分野などで活用される可能性があるということです。自律分散したまさにWeb3時代のインフラとしての今後に期待が高まる上に、自らがその事業の担い手として参画できるRNDR。今後の躍進が楽しみですね。