Home 詐欺と闘う 2023/2/11 TBS報道特集「不正融資の闇」

2023/2/11 TBS報道特集「不正融資の闇」

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2023年2月11時17:30からTBSにて放送された「報道特集」、今回は番組の後半で「不正融資の闇」という特集が放送されたのをご存知だろうか?この不正融資の闇、いわゆるスルガ銀行のアパマン向け不正融資問題についてフィーチャーしたもの。
実は数日前からTwitterでは盛り上がりを見せていたのだ。投資と詐欺編集部でもスルガ銀行不正融資問題は追い続けているテーマでもあるため、改めてこの報道特集を追ってみた。

※2月12日現在、TVerの見逃し配信にて視聴可能なため、ぜひご自分の目でこの衝撃を味わって頂きたい。(視聴時間 約23分)

スルガ銀行の不正融資問題とはどのような問題か?

投資と詐欺編集部でも今まで数回にわたり、この不正融資問題を取り扱ってきた。振り返り記事はぜひ、下記をご確認いただきたい。

一言でいうと何が問題?スルガ銀行不正融資事件とは何か

行政処分から4年ースルガ銀行不正融資事件の闇は晴れたか?

スルガ銀行不正の暗部をえぐる麻生裁判のおどろきの判決とは?

サラリーマンのAさんが受けた被害とは?

福岡市在住の会社員Aさん(50代)は不動産業者から勧められ、スルガ銀行の融資を受け大阪の築30年以上の投資用マンション一棟を購入。購入金額は2億4000万円。
その外観とは裏腹に、49室中20部屋しか入居が無いとのこと。空室もボロボロの部屋が多く、とても賃貸募集をできる状態にはない。さらには事故物件(部屋の中で入居者が亡くなった場合にそう呼ばれる)となるような部屋も複数あるとのこと。

Aさん所有の物件の一部屋、ご覧の通り、窓側の天井が抜け落ちてしまっている。取材した記者も驚きを隠せない

ではなぜAさんはこの物件を購入したのだろうか?

Aさんはリポーターの質問にこう答える。
・銀行側からの紹介物件、「お墨付き」ということもあり信用してしまった。
・現地には行っておらず、不動産業者から「現地を見なくてもGoogleMapとかで確認すれば大丈夫」「現地に行かない人が多いですよ」ということを信じてしまった。
・サブリース契約という業者が家賃保証をするという約束があった。

これを見て、2.4億円の物件を購入するのに現地に見に行かないのを不思議に思われたのではないだろうか?実は筆者もその点は非常に不思議に思ったが、番組内ではこう語っていた。

・Aさん自身が以前、銀行に勤めており融資業務もやっていた経験があった。
・銀行は融資に関して「非常に厳しい審査」をするため、銀行が「お墨付き」をするような物件であれば絶対大丈夫だと信用してしまった。

筆者もこれを聞いてなるほどと思った。確かに銀行は融資のごげ付きが見えるようなものには融資しないだろう、であればこれはかなり良い物件に違いない、そう思い込んでも不思議ではない。現にこの「銀行お墨付き」というキラーフレーズにより何人ものサラリーマンが借金地獄に嵌め込まれたと、番組後半で五十嵐弁護士より証言されていた。

この物件を購入したAさん、ほどなくして頼みのサブリースが一方的に打ち切りとなりその結果、銀行の返済額が収入を上回り毎月30万円の赤字となってしまった。給与と貯蓄を切り崩しながら返済を続けていたが、もう貯蓄も底尽きる。Aさんはこの状況について「平穏な生活から地獄」、「頭の中が真っ白」と表現した。家族にも伝えられず一人でなんとかしようと不動産鑑定を行ったところ、何と物件価値が1億1327万円と、購入金額の半分以下の価値しかなかったことが判明した。実に1億2000万円以上の高値づかみをさせられていたことになる。

この物件を販売した不動産会社社長の証言

報道特集の取材に対して、この物件を販売した不動産会社の社長の証言は完全に詐欺の手口である。購入者には物件を見に行かせないのだ。「見せない・考えさせない・相談させない、というのが投資用の不動産販売にはある。この不動産を買った方は悲惨な状況になる、ということもわかっていた」と言うからから驚きだ。

不動産会社の社長の証言はどれも驚くようなものばかり。

この物件の融資はスルガ銀行が行ったわけだが、その融資審査の過程においては融資審査資料を改ざんしたという。これは今まで投資と詐欺編集部でもスルガ銀行不正融資における書類の改ざんはお伝えしてきたが、それが業者の口から生々しく語られたのだ。預金通帳の改ざん、レントロール(賃料表)の改ざん、手付金領収書の改ざんなど。

不動産業者の社長は、これらの不正を知りながらマンションを売ったと証言している。不動産業者の社長は、この不正融資への関与について「断ることはできなかった。もし断ると提携を切られて、それ以降融資がなくなってしまう。このような厳しい物件でも銀行側のプレッシャーで販売せざるを得なかった。」と証言した。

スルガ銀行不正融資被害者同盟

この不正融資問題、会社員Aさん以外にも多くの被害者が全国に存在している。中には外国人も含まれている。多くは30代〜50代のサラリーマン。全てスルガ銀行の融資によりアパートマンションを購入していた。この被害者たちが集まって結成された被害者団体が「スルガ銀行不正融資被害者同盟」だ。投資と詐欺編集部でも過去に何度も取材をさせて頂いている。

このスルガ銀行の不正融資被害の総数は全国に793物件、ローン総額は1051億円にも上るという。

被害者の中にはこの不正融資によるローン債務により、自死された方や離婚に至った方もいらっしゃるとのこと。この不正融資問題がいかに人生に影響を与えているのかが良くわかる。本当に不正融資の闇、というべき部分である。

被害弁護団の見解は?

番組では、スルガ銀行不正融資被害弁護団の事務局長「五十嵐 潤」弁護士にも取材が行われており、スルガ銀行が不正融資に対して数多くの関与があることを指摘。

スルガ銀行不正融資被害弁護団 事務局長 五十嵐 潤 弁護士(東京共同法律事務所)

特に驚いたのは、スルガ銀行の行員がレントロールの改ざんを指示している証拠。指示された内容がメールに残っており、スルガ銀行に提出されているレントロールと今回の改ざん指示のメール内容が一致しているとのこと。

スルガ銀行に提出する用の改ざんされたレントロール。スルガ銀行から修正する金額を指示されていた。

さらに、番組では驚きの証言を聞くことが出来た。正直言って、これは反則級の内容である。その内容はぜひ、ご自身の目で番組を視聴して確認頂きたい。

なお、見逃し配信では未収録だが、VTR後に膳場貴子キャスターの言葉が印象的だった。「銀行お墨付きの物件と言われたら信用するのは当たり前だと思うのですけど実際に取引された不良物件を見ますと、まぁひどいです。不正融資の経緯を知りますと、想像以上にひどくて、もう、言葉がないですね・・・」と絶句していた。

今回の報道特集の内容、いかがでしたでしょうか。スルガ銀行のアパマン不正融資問題、ついに全国放送されることになってしまいました。スルガ銀行の嵯峨社長が言っている「早期解決」、一体どうなっているのでしょうか?もはや早期という言葉でさえ、一般的な感覚と異なるのかもしれません。しかし時間をかければそれだけ色々な証拠が出てきているのも事実です。スルガ銀行は自ら傷口を広げているようにも見受けられますが、果たしてこの問題の行く末はどうなるのでしょうか?

TVerの見逃し配信はこちらから ぜひ、驚きの内容をその目でお確かめください。

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