Home 詐欺と闘う SI被害者同盟代表インタビュー:被害者団体がスルガ銀行に対して株主提案を提出、その狙いは?

SI被害者同盟代表インタビュー:被害者団体がスルガ銀行に対して株主提案を提出、その狙いは?

SI被害者同盟代表とのインタビュー:被害者団体がスルガ銀行に対して株主提案を提出、そのねらいは?

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被害者が多角的に詐欺被害回復のために活動しているスルガ銀行不正融資被害者同盟(以下、SI被害者同盟)の活動は詐欺と闘う被害者にとって大いに参考になる活動です。今回は、スルガ銀行に対して、SI被害者同盟が株主提案を行うということで、被害者団体の代表の方に詳しくお話を伺いました。聞き手:投資と詐欺編集部 語り手:SI被害者同盟 代表※被害者保護の観点から実名は伏せ、SI代表と記載させていただきます。

株主提案の背景は?

――そもそも株主総会に被害者団体がなぜ参加するのでしょうか?

SI代表:今年は6月29日に沼津で開催されるのですが、昨年に続き、今年も参加したいと考えています。総会の場には嵯峨社長を始めスルガ銀行の役員が全員参加しています。私たち被害者が、普通に面談を申し込んでもスルガ銀行の経営陣とは会うこともできませんが、株主総会なら直接面と向かって会うことができ、質疑もできます。経営陣に対して直接声を届けられるので、大きな意味があると考えています。

――株主総会には株主しか参加できないと思いますが、皆さんはスルガ銀行の株を購入したのでしょうか?

SI代表:はい。SI被害者同盟には多くの被害者が集まっており、有志がスルガ銀行の株を購入し、去年は100名以上が株主総会に参加しました。今年はさらに多くのメンバーが株主総会に参加すると思います。被害者は全員スルガ銀行経営陣から直接声を聞きたいのです。

――今回は今までと異なり、株主提案を行うということですが、どういった経緯で行うことになったのでしょうか? 

SI代表:株主総会は限られた時間しかありませんし、どうしても経営陣の回答は通り一辺倒。昨年は個別に対応するという嵯峨社長の定型回答があったのみです。しかしこの一年、何ら事態は改善せず、中には競売にかけられたメンバーさえいます。スルガ銀行は事件を長期化させ、目立たないように少しずつ債務者を潰していき事件の風化を狙っていると考えられます。そこで我々は3万株を集めて少数株主として株主提案を行うことにしました。この提案内容は、株主総会の招集通知書にも明記されますし、スルガ銀行からの回答が全株主にわかるように書面で配布されます。私たちの提案に対してスルガ銀行の経営陣がどのように答えるかが公式に共有できるので、貴重な機会だと考えています。

――SS、SIを通じて、こうした株主提案は行ってきたのでしょうか?

SI代表:いいえ、今回が初めてです。本株主提案に関しては元SS被害者同盟、現ReBORNs代表の冨谷皐介氏の発案です。SS被害者同盟がシェアハウス問題で戦った時よりも、このアパマン不正融資の方が被害者が多いために実現することができました。すでに株主提案に関してはスルガ銀行に内容証明で提出していますし、主要株主などの関連企業にも我々の提案内容について送付しています。スルガ銀行には真摯な対応を期待しています。

株主提案でスルガ銀行不正融資被害者たちは何を主張するのか

――株主提案ではどういったことを主張するのでしょうか?

SI代表:詳細はSI被害者同盟のHPに掲載しておりますので、そちらをご確認頂ければと思います。またYoutubeのガルスTVでも株主提案に関する解説動画が取り上げられているのでそちらも併せてご確認ください。

今回、我々が提案する10個の提案は、どれもスルガ銀行の経営再建のために必要だと思うことを我々被害者が株主の立場で真剣に考えたものです。これらが正しく実現できればスルガ銀行の株価は回復できるのではないでしょうか。

スルガ銀行側の想定される反応

――当日の反応はどういったものになると思われますか?

SI代表:総会当日は、提案に対して1つずつ質疑応答が行われるものと考えられますので、まともに話ができるものと思われます。我々が真剣に考えた株主提案に対して、スルガ銀行側がどのように回答するのか、場合によっては紛糾するような解答もあるかもしれません。我々はスルガ銀行が否決したものに関しては、納得するまで動議を出したいと思っています。しかし、昨年は動議を出しているにも関わらず、強引に総会を終了するという信じられない議会運営をしていますので、今年も昨年同様に強引に終了させてくるかもしれません。

今後どうするのか

――株主提案に連動して、ほかに活動するご予定はありますか?

SI代表:今回の我々の活動を広く多くの方に知って頂きたいと思っております。もちろん、我々被害者の立場でこの問題を早期解決させたいというのもありますが、このような問題に立ち向かう他の詐欺事件の被害者の方への勇気づけにもなるのではないかと思っているからです。このような詐欺被害にあってしまったときに、日本では訴訟以外に解決手段がありません。特に相手が法人格である場合、非常に難しい戦いとなるため、多くの被害者が泣き寝入りしているのが実情です。残念ながら、現状の制度だと日本は「詐欺の行いやすい国」となってしまっています。少しでも詐欺を行いにくい国にするために、我々の活動を多くの方に知って頂くというのは、重要ではないでしょうか。もちろん、その認知活動の中に全国でのデモ活動というのもあります。

――スルガ銀行との実際の交渉はどんな感じで進んでいますか?

SI代表:それぞれの弁護士同士の交渉は月1回程度行っています。しかし、残念ながらまだ解決への道のりは険しいという状況です。双方が解決に向けての歩み寄りがない限り、前に進まないと思います。そのためにも、金融庁や政治家の方々のお力もお借りしながら、我々の窮状や騙しの手口を理解頂き、早期解決に向けて引き続き、スルガ銀行へ指導頂きたいと思っていますし、今回の株主提案が前進へのきっかけになればと思っています。

編集部まとめ:

銀行という大企業が関与した不正な融資の被害にあった方々が、個人の力では対抗できなかったことが、団体となったことで一致団結し戦略的に戦っている様子が感じられました。

そのような中、金融庁は被害者弁護団ときちんと向き合うことを先日の財政金融委員会で栗田監督局長より発言がありましたが、今のところ、スルガ銀行に対しては目立った動きは見られません。

スルガ銀行の対応に注目したく思います。今後もこの展開は継続して取り上げていく予定です。

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