「ホテルを格安で予約すればほかの人に売った差額が報酬になる」という新種のSNS型ロマンス詐欺で被害者がでました。被害にあったのは山口県岩国市に住む40代男性で被害総額は662万円。事件の発端は2025年8月頃、被害者はマッチングアプリを通じて知り合ったとされる女性から接触を受け親しげなやり取りを重ね、信頼関係を築いた上で、「魅力的なビジネス提案」を持ちかけたといいます。
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ホテル予約転売詐欺の手口

被害者に「ホテルを格安価格で予約し、それを他の人に転売した差額を報酬として得られる簡単な仕事がある。あなたに手伝ってほしい」と持ちかけたといいます。ホテルはたしかに予約サイト間で価格差があります。一見すると合法的な「アービトラージ(裁定取引)」のような副業ですが、実際には、ホテル予約のシステムを悪用した架空のスキームで、一切の利益は発生していなかったといいます。
加害者の女性は「専用の予約・転売サイト」を勧め、アカウント作成を促します。このサイトは詐欺師が用意した偽物で、実際のホテル予約システムとは無関係。被害者はここで個人情報を入力を求められます。

サイト上で「初期投資として予約費用を振り込んでほしい」「手数料が必要」などと次々に要求。偽サイト上で取引益が発生し、被害者は徐々にのめりこんでいったようです。最初は少額から始め、徐々にエスカレートするいわゆる「フック効果」とよばれる状況ですね。最終的に、合計約662万円(正確には660万円超)を送金したといいます。
男性は儲かっているはずなのに、引き出そうとすると報酬が一切入金されないことに気づき、岩国警察署に相談。警察の捜査により、送金先が海外(おそらく東南アジアやアフリカの詐欺拠点)関連の口座であることが判明しました。加害者は日本人女性を装っていましたが、実際は海外の詐欺グループによる偽アカウントの可能性が高いとのことです。
こうして一度もあったことがない女性との恋愛感情を利用され詐欺事件が展開されました。こうした詐欺事件のことをロマンス詐欺といういいます。
この事件は、SNS型ロマンス詐欺の典型例です。警察庁のデータによると、2024年時点でSNS型詐欺全体の被害額は455億円を超え(日本経済新聞報道)、ロマンス詐欺はその中でも急増しています。

被害者の特徴は30〜50代の独身男性が主な標的。孤独感や経済的不満を突かれ、恋愛感情を装った甘い言葉で油断させます。手口も進化しており、従来の「投資話」から、最近は「ホテル予約転売」「仮想通貨取引」「NFT副業」など、身近で魅力的に聞こえるスキームにシフト。実際にありそうな身近な儲け話に聞こえるため、見分けがつきにくくなっています。
詐欺師はAI生成の偽画像やボットを使った自動応答を活用し、効率的に被害者を増やしている傾向が見られるようです。
予防策の詳細解説

この記事を機に、読者が同様の被害に遭わないよう、具体的な対策を以下にまとめます。ロマンス詐欺の成功率は「信頼構築の巧みさ」に依存するため、早期の疑念が鍵です。
| 対策カテゴリ | 具体的な行動 | 理由とTips |
|---|---|---|
| 初期接触時のチェック | マッチングアプリの相手が急にビジネス話を持ちかけたら即ブロック。プロフィール写真を逆画像検索(Google Lens)で検証。 | 詐欺師の8割が盗用画像使用。アプリの公式認証バッジを確認。 |
| 金銭要求への対応 | 「投資」「副業」「予約手伝い」の名目で送金を求められたら、絶対に応じず家族や警察に相談(#9110)。 | 少額から始まる「テスト送金」で本格化。送金後「後悔するまで気づかない」ケース多数。 |
| 心理的な自衛 | 孤独を感じたら、信頼できる友人や専門相談(全国被害者支援ネットワーク)を利用。 | 詐欺の標的は「心の隙間」。感情が高ぶった状態での判断は避ける。 |
| 技術的な防御 | 二段階認証をアプリに設定。怪しいURLはクリックせず、VirusTotalでスキャン。 | 偽サイトでマルウェア感染のリスクあり。2024年の事例で、被害者の半数が情報漏洩を併発。 |
| 事後対応 | 被害に遭ったら即警察・金融庁(#110、金融ADR)に連絡。送金記録を保存。 | 早期凍結で一部回収可能。岩国署のように、地元警察の専用ホットライン活用。 |
新規ビジネスや副業は事前に検証が難しい

この記事は、単なる事件報道にとどまらず、現代のデジタル社会における「恋愛と金銭の交錯したリスク」を象徴しています。2025年現在、AIの進化で詐欺の手口が洗練され、被害額は過去最高を更新中。被害にあうと回復は困難です。リスクが高い投資は投資金額の10%以内に抑えるなど自分の中での資金管理しか身を守る方法はありません。




