2025年末に1円=2.60〜2.65バーツ台という、過去に例を見ないバーツ高・円安になったことをご存じだろうか。タイ当局(タイ首相・中央銀行)も2025年9月から本格調査に入る事態に発展しているがいまのところバーツ高は止まっていない。
ではなぜバーツが急に強くなったのか?表向きは「タイからカンボジアへの金(ゴールド)輸出が爆増」したからだといわれている。事実2025年1〜7月だけで約2.1億ドル(約7,000億円相当)の金がカンボジアに輸出され、前年比+69%。これにより大量の外貨(米ドル)がタイに入り、バーツが買われバーツ高になったというのだ。

しかしなぜ7000億円相当のゴールドがカンボジアに移動したのか。関係筋によると、この金の輸出はほぼ100%「マネーロンダリング(資金洗浄)」だと見られている。

カンボジアに拠点を置く中国系詐欺グループ(コールセンター詐欺など)が、日本人・中国人などから騙し取った金を
①暗号資産に変えてタイに送金
②タイで現金化して金を買い
③カンボジアに「正規輸出」として持ち込む
というルートで資金を洗浄していると疑われているというのだ。

その結果実体経済とは無関係にバーツが買われ続け、2025年末には1円=2.60〜2.65バーツ台という、過去に例を見ないバーツ高・円安になった。
タイに住む日本人(特に円給与の駐在員やリモートワーカー)は、1年前は1円=約2.3バーツだったのが、今や2.6バーツ超。つまり同じ100万円の給与が、タイバーツ換算で約13%も目減り。家賃・食事・生活費が全部バーツ建てなので、実質大幅な給与カット状態になっているという。
タイ当局も金輸出に規制をかける動きが出ている事態に発展しているが、まだ目に見える効果はない。「バーツ高の正体は詐欺マネーでした」「日本人が詐欺にあって、そのお金がタイに流れ、バーツ高になって、日本人在住者が苦しむという地獄」という皮肉たっぷりの展開が現実のものになっている。




