2024年のスルガ銀行定時株主総会の振り返りとして、SI被害弁護団は記者会見を開催しました。スルガ銀行の株主総会は、議長が加藤社長で淡々と取り行われましたが、去年と同様、SI被害者弁護団や被害者たちが株主提案を行ったものの、全て否決され、銀行提案は全て承認されました。全体の総括として、河合弁護士から順に弁護士のコメントを紹介します。
解除されないスルガ銀行に対する業務改善命令

河合弁護士: 形式的には銀行側の提案が全て通り、我々の提案が全て否決されましたが、中身的には相当追い込んだと思います。銀行のいい加減で正義に反する、お金さえ儲ければいいという経営がますます明らかになったのが今日の特徴だったと思います。

弁護団は業務改善命令を出している金融庁とも何度も話しています。その中で5年半にもわたっていつまでも業務改善命令が解除されない理由は何ですか?と聞くと「解除したら、皆さん方が怒るでしょ?」「アパマン問題が解決されてないから業務改善命令が解除できない」と金融庁でさえ言っている状況です。
そういう状況でもスルガ銀行側は業務改善命令が解除されないことについては金融庁が決めることだからわからないと言っているんです。
不正融資が793物件あるのに対して、20数件しか解決を見ていない。しかも全部借金チャラですという完全解決は1つもない。被害者が抱えている不良債権はおおよそ1000億円で貸倒引当金が1100億円あるんだから全て終わりにしましょうと、それで胸を張って働きましょうと加藤社長に申し上げました。
ですが業務改善命令が解除されてなくても業務に支障はないと言ったスルガ銀行の行員がいる始末です。加藤社長は就任1年目ですが、ここで解決して名をあげてほしい。歴史に名を残してほしいところです。

山口弁護士: 今日の株主総会は、前回と違ってある程度争点が絞り込まれ、被害者の皆さんの質問も非常に的確で、論点がはっきりしたと思います。いつ、どのように問題を解決するのかという質問に対し、銀行側は「努力する」としか言わず、具体的な解決策は見えていません。
現在進行中の裁判では、スルガ銀行が原告で、弁護団が参加原告として参加しています。被告側は元役員など7〜8人です。特に注目すべきは、問題の中心人物である麻生元幹部社員との和解です。麻生氏は責任を認めて謝罪していますが、解決金として銀行に払ったのはわずか1000万円です。これは被害者の抱える債務に比べると極めて少額です。
クレディセゾンとの提携問題も大きな課題として浮かび上がりました。

谷合弁護士: 金融庁の処分がなぜ解除されないのかが中心的な関心事ですが、銀行側はノーコメントの状態です。静岡地裁の裁判ではシェアハウスローンの損害が争点になっていますが、実際の証言ではアパートマンションローンの不正がシェアハウスローンに結びついているという点が争われています。今日の総会でスルガ銀行がアパートマンション不正問題について全く反省していないことが明らかになったと感じています。
不正だが、不法ではないとするスルガ銀行の姿勢が鮮明に
大方の予想通り、株主提案はすべて否決されましたが、スルガ銀行の回答内容の不誠実さに対して、弁護団は一定の手ごたえを得たようです。金融庁も消費者とのトラブルを抱えたまま、目立って業務が改善されず、強硬な姿勢を崩さないスルガ銀行のスタンスを前にして、業務改善命令を解除できないという話も紹介されていましたが、行内不正はあったが、法的に問題ないとするスルガ銀行のスタンスからは、被害者も解決の姿勢を感じられない状況であるのは確かだと言えそうです。
スルガ銀行と被害者の間の溝は深く、問題は長期化の様相を見せていますが、今後のスルガ銀行の態度に変化があるのか。一日も早い解決が望まれます。