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    SI被害者同盟からスルガ銀行に提出された10か条の厳しい株主提案

    クレディセゾンとの業務資本提携を結んだスルガ銀行だが、金融庁からの行政指導は続き、SI被害者同盟などの投資被害者との問題は解決していない。連日スルガ銀行の前では被害者の抗議デモが展開され、クレディセゾンにもデモが飛び火している状況だ。そんな中、スルガ銀行の株主総会が6月後半の開催が予定されているが、また大荒れの予感がする展開となってきた。その理由はスルガ銀行と対立姿勢がいよいよ激化しているSI被害者同盟からスルガ銀行へ株主提案だ。

    「もう株主になって総会で発言するしかない」

    SI被害者同盟に加入する被害者は300名を超えるという。その多くは一般の会社に勤務するサラリーマンでスルガ銀行からの融資を受けて高額なマンションを購入したが、その際にスルガ銀行と深い関係があった悪徳な不動産会社に騙され値段を不当に釣り上げられた、賃料を記載したレントロールが改ざんされていた、融資の申込の際に預金額や収入を書き換えられたなどの現代日本で起こっている事件とは思えないほどの悪質な詐欺に引っかかっている。その元凶となったのがスルガ銀行の企業体質であるとして、経営陣の入れ替えや企業体質の改善を求める株主提案を行っている。

    去年のスルガ銀行の株主総会でも、投資と詐欺編集部の取材に答えてくれたSI被害者同盟の参加者は「スルガ銀行が対話を拒否するので、被害者は経営陣と言葉を交わす機会もありません。直接話すには、株主になって総会で発言するしかないんです」と思い詰めた顔で語っていた。

    SI被害者同盟からスルガ銀行に提出された10か条の厳しい提案内容

    そんな切実な状況にある被害者たちがSI被害者同盟としてスルガ銀行に叩きつけている提案内容は10項目に渡り、内容も苛烈だ。

    議案内容① 取締役解任の件

    議案内容② 取締役解任の件

    議案内容③ 定款の一部変更の件(業務改善命令解除に向けた業務態勢の確立について)

    議案内容④ 定款第33条の削除の件(余剰金の配当等の決定機関について)

    議案内容⑤ 定款の一部変更の件(役員報酬の個別開示について)

    議案内容⑥ 定款第28条変更の件(取締役の報酬について)

    議案内容⑦ 定款の一部変更の件(行政処分に対する達成約束の期限の設定について)

    議案内容⑧ 定款の一部変更の件(コンプライアンス憲章の実践状況の公表について)

    議案内容⑨ 定款第2条変更の件

    議案内容⑩ 定款の一部変更の件(SDGsを反映した内容を盛り込む件)

    経営陣の退陣、役員報酬の個別開示、取締報酬の減額などを求める経営責任を厳しく追求する内容とともに、金融庁の業務改善命令解除にむけた業務体制の不備の指摘と改善の要求、行政処分に対する達成約束の期限設定など、企業経営の健全化を求める内容など多岐に渡っている。全文はSI被害者同盟のサイトで確認できるので気になる方はそちらもご覧いただきたいが、役員の経営責任を問う声に関して、この記事の中でも紹介しておきたい。

    SI被害者同盟HP スルガ銀行株式会社への株主提案について

    経営責任を問う声

    取締役解任を求められているのは代表取締役副社長 加藤広亮氏と取締役 堤智亮氏の2名だ。SI被害者同盟の公開している株主提案によると「スルガ銀行の代表取締役は嵯峨氏および加藤氏の両名である。加藤氏は嵯峨氏と共に アパマン不正融資事件の早期の根本的一括解決に反対していると聞く。4年半に渡り 金融庁からの業務改善命令は解除されず、業績の低迷及び株価の低迷が続く状況を招いた責任は重大である。よって加藤広亮氏は解任すべきである。」と加藤氏の経営責任を厳しく追求している。またスルガ銀行の堤氏に関しては、「堤智亮氏は2017年4月に審査部長に就任していたにも関わらず、元専務執行役員 の麻生治雄氏の強引な融資審査通過の圧力に屈し、審査機能を形骸化させた重大な過失がある。このことは麻生氏の解雇無効訴訟の判決でも指摘されている。このような重大な過失がありながら、責任を取るどころか取締役に昇進している。 このような者を取締役に選任するということは、シェアハウス事件・アパマン不正融資事件を組織として反省しておらず、審査機能を重視していない事を示す何よりの証拠である。組織の一部でさえ管理監督できていない人物は、会社全体を取り締まることには適性を欠き、不適格と言わざるを得ない。よって即刻解任すべきである。」と業務上の過失があったにもかかわらず、取締役に昇進した堤氏を厳しく糾弾している。

    進まない行政指導への対応

    スルガ銀行は2018年に業務停止を含む行政指導を金融庁から受けているにもかかわらず、業務改善が進まなかったとSI被害者同盟は主張している。2023年3月にも国会の財政金融委員会などでも問題として取り上げられており、たしかに問題は解決しているとは言い難い様相だ。

    議案内容③ 定款の一部変更の件(業務改善命令解除に向けた業務態勢の確立について)

    「スルガ銀行の問題が国会で何度も指摘され、都度金融庁長官や財務大臣が業務態勢を確立するようスルガ銀行に指示している旨の返答が4年以上続いている。不正融資問題をシェアハウスだけに矮小化し、アパマン不正融資を蔑ろにするなど、スルガ銀行が顧客本位の業務運営態勢を確立しないから国会で何度も指摘され、その都度金融庁長官や財務大臣が返答に苦慮している現状を重く受け止め、2023年4月23日時点 で1661日継続している業務改善命令が一日も早く解除されるよう、業務態勢を確立する旨を定款に定める。2023年3月29日の衆議院の財務金融委員会において、自由民主党の小田原きよし議員が早急なる根本的解決を要請したのに対し、金融庁の伊藤監督局長が早期に誠意をもって解決するよう指導すると約束した事実をスルガ銀行は重く受け止めなけれ ばならない。」

    議案内容⑦ 定款の一部変更の件(行政処分に対する達成約束の期限の設定について)

    「2018年に発覚した不正融資問題により、金融庁より業務停止命令ならびに業務改善命令が発出されスルガ銀行の業績および社会的信用は地に落ちてしまった。2023年4月23日現在も業務改善命令は継続しており、スルガ銀行の業績に対する影響を払拭することができずにいることから、官庁の処分がいかに重大なものであるかが伺い知れる。過去の過ちを真摯に受け止め二度とこの悲劇を繰り返さないため、さらには失った社会的信用を取り戻すためにも官庁の処分に対し銀行として対外的に結果をコミットす ることは非常に重要であることから、官庁により行政処分を受けた場合は、官庁の公表非公表に関わらず、自らが業務改善の実行計画を公表し、顧客、株主へ結果をコミットすることが社会的信用を取り戻すためには必要である。コンプライアンス意識を高く持ち業務をしていれば業務改善命令を受けることは無く、これを定款に定めても業務に何ら支障はない。」など厳しい論調で改善を求めている。

    事件が明るみになった2018年から5年が経過しようとしている中、解決の糸口が見えないスルガ銀行不正融資事件。事件をなかったもののように扱うスルガ銀行側と被害者たちの溝が埋まる日はくるのだろうか。スルガ銀行側が株主総会でどのような対応を取るのか。株主総会はもう目前に迫っている。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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