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    統一教会ってどんな団体?霊感商法で訴えられたの?合同結婚式ってなに?

    安倍元首相を狙撃した犯人が、元信者で統一教会に恨みをもっていたことが報じられて再燃した統一教会ってなに?という話題に関して、皆さんの疑問に答えていきたいと思います。
    少し報道も下火になりつつある中、この事件を風化させないためにも改めて、記事化することにしました。

    統一教会ってなに?正式名称は?

    統一教会はキリスト教系の新興宗教の一つです。現在「世界平和統一家庭連合」という団体名になっており、宗教法人として日本でも登録されていますが、以前は世界基督教統一神霊協会という名称でした。正式名称が長い事もあり、その略称である統一教会とよばれていたため、団体名が変わった後にも、旧統一教会やそのまま統一教会と呼ばれることが多いようです。

    統一教会はどんな教義なの?

    世界平和統一家庭連合公式サイトより

    統一教会の創始者は韓国人の文鮮明氏で、韓国で始まった宗教団体です。キリスト教の教えをベースにしていますが、教祖の文鮮明氏の独自の教義もあり、キリスト教系新興宗教といえます。公式サイトで紹介されている教義を引用します。

    統一原理は大きく、 ①創造原理 ②堕落論 ③復帰原理 の3つから成り立っており、宇宙の根本は何か、人生の目的は何か、人間はどうして生まれたのか、不幸の原因はどこにあるのか、どうしたら平和で幸福な世界ができるのか、といったさまざまな問題が明確に解かれ、人類の未来に新たな指針を与えるものです。

    https://ffwpu.jp/about/doctrine

    「世界はどのように生まれたのか。」「神様がいるのに、どうして苦しいことがあるのか。」「どうしたら幸せになれるのか。」などにこたえる宗教としての世界観や教義が存在するようで、その教義は「統一原理」と呼ばれる体系的な思想となっているとされています。

    統一原理は、教祖である「文鮮明総裁」が長い年月をかけて、神との対話や影響をつよく受けているキリスト教の聖書などを学んだなかで体系化したそうですが、韓国では30万人以上の信者を集め、日本でも50万人とも60万人ともいわれる信者を擁しているといわれています。

    統一教会は日本の芸能人が特徴的な宗教儀式「合同結婚式」に参加し一躍有名に

    統一教会が一躍有名になったのは、合同結婚式という独特な儀式に日本の芸能人である桜田淳子さんなどが参加したためです。桜田淳子さんは、森昌子さん、山口百恵さんとならんで「花の中三トリオ」とよばれ1970年代に一世を風靡した元アイドル。そんな桜田淳子さんが、統一教会の信者であることを公表して、合同結婚式に参加したのは、いまから30年前の1992年のことでした。

    合同結婚式は、教祖である文鮮明氏が自身のインスピレーションに従って、信者の結婚相手を選び、韓国で数百人以上が合同で結婚式を行うという宗教儀式です。信者にとっては尊敬する教祖に結婚相手を選んでもらえるということで名誉な儀式だったようです。とは言え、本人の自由意志とは関係なく数回しか事前に会ってない相手と本当に籍を入れ、結婚するということで、大きな物議をかもしました。

    1992年の合同結婚式には、有名人が桜田淳子さんのほかにも参加するという発表がされていました。新体操界の山崎浩子選手、コメンテーターの飯干景子さんなど、3人とも日本のお茶の間でテレビをみている人なら多くの人が知る有名人です。

    当時はまだインターネットも普及する前でしたので、テレビで有名な芸能人の影響力やファンの多さはいまとはくらべものになりません。合同結婚式の発表があってから数か月間はマスメディアがこぞって取り上げる騒ぎとなりました。

    騒ぎの中では、統一教会が信者に高い壺や宗教グッズを買わせたり、高額の寄付をさせているという報道も含まれていました。実際に裁判沙汰になるケースもあり、「新興宗教に元アイドルや芸能人が洗脳された」「霊感商法で多くの被害者がいる」「統一教会の教義が先鋭的かつ日本人の戦争責任を追及するもので、日本人を搾取している」など多くの報道がなされました。

    教義に関しては、どんなに先鋭的でも信仰の自由があるので、外野が口をはさむいわれはありません。法律に違反しない限り、どんな思想をもっていても自由というのが日本の法律です。

    ですが、マスメディアの報道で、統一教会は「反社会的」、「詐欺的」、「常識はずれ」という印象が根強いマイナスのブランディングがなされました。

    体操選手の飯干景子さんは、親族に説得されて脱会。コメンテーターの山崎さんも結婚式のあとに失踪・脱会の騒動に発展します。

    統一教会としては、有名人も入信する怪しくない宗教団体というアピールにつなげたかったかもしれませんが、まったく逆の結果につながりました。桜田淳子さんも旧統一教会の「広告塔」「PR担当」という印象が強く印象付けられ、芸能界から姿を消してしまいました。

    教祖である文鮮明氏が選んだ結婚相手は、東伸行さんという福井県で「敦賀撚糸」という工場を経営していた実業家でしたが、合同結婚式から8年後の2000年、敦賀撚糸は廃業します。その後、兵庫県の西宮に転居、上京して都内の高級マンションに移るなど消息が報じられていましたが、生活費などはどうしていたのか詳しいことはわかっていません。

    統一教会はやばい組織?

    宗教の教えは、現代の日本社会の常識や法律とことなる場合もあります。新興宗教はその度合いが強い場合もあります。しかし、常識と外れているからといって、その宗教が全面的に悪いとはいえません。日本は言論・思想の自由があるため、どんな思想をもっていても自由なのです。ですが、法律を違反した団体は法律違反した責任を取る必要があるでしょう。

    オウム真理教と違って、警察や検察に関係者が大量に逮捕されるような事態を起こしているわけではないため、思想や信条だけでヤバイ組織という判断は早計でしょう。ですがもし霊感商法など、道義的にも法律的に問題のある取り組みを組織的に行っているとしたら、そこは断罪されるべきでしょう。

    人権派弁護士として知られる山口弁護士のように、統一教会が霊感商法からは手を引いたものの、信者の財産状況を把握し、営業目標をもって組織的に献金させるように活動していると主張している人もいます。もしそれが本当であれば、道義的に嫌悪感を持つ人は多いでしょう。

    統一教会は本当に霊感商法を行っていたの?

    霊感商法とは、科学や常識とは違う宗教の教えや霊感に基づく情報で、被害者を困惑させ、解決するために寄付や霊感グッズの購入を迫る行為です。

    信者が高額な壺を買うことや、全財産の寄付を行うこと自体は、宗教行為なので違法ではありません。ですがそれが信者自身の自由意志に基づくものでなければ、話が違ってきます。

    例えば信者自身が、受験に合格するためにお守りを自分から買うことは問題ありません。ですが宗教団体が、信者に対して「あなたは受験に失敗する。悪い霊がついているためだ。」と伝えることで、信者を不安がらせ困惑させることで、判断力を奪い「このお守りを買わないと受験に合格できない」と迫ったら霊感商法の可能性が出てきます。

    お守りを購入した人が後悔していなければ問題ありません。ですが購入した人が、振り返って冷静になった際に、「本当は買いたくなかった」と後悔しており、「神の教えや、霊感などを理由に判断をまどわされ買ってしまった」と感じていたら、霊感商法の被害にあったといえます。

    この線引きは、本人の主観にも依存するため、団体として不適切な行動を組織的にとっていたのかという問題は非常にセンシティブです。「組織的に信者を救済するために導く」のと、「組織的に信者を洗脳して財産を搾取する」ことの区別は部外者にはつきにくいためです。

    ですが1990年代は特に新興宗教がクローズアップされた時代でした。統一教会以外にも、オウム真理教のようにテロ事件を起こした団体、パナウェーブ研究所のように白装束に身を包み、一般社会とは異なる独自の生活を送る団体など数多くの新興宗教がメディアを賑わせました。

    問題なく社会に溶け込んでいる新興宗教もあれば、問題視されるような行動をとる新興宗教もあったということで、霊感商法はメディアを連日にぎわせており、統一教会もその一つとして話題にあがっていたのです。マスメディアは統一教会は霊感商法で巨額の利益を上げている。その利益が本国である韓国に送られ、教祖の文鮮明氏の私腹を肥やす結果になっている。文鮮明氏は「太平洋戦争で朝鮮半島を侵略した日本の戦争犯罪は宗教的にも贖罪するべきで、日本の信徒は全人生、全財産をかけて罪をつぐなうべきだ」と主張しているなどと報道され、実際に霊感商法の被害者と名乗り出て、訴訟を起こす元信者が数多くでたため、日本のお茶の間でテレビを見ていた人は、統一教会は非常に怖い宗教団体だと感じたのです。

    真実はわかりませんし、統一教会だけが霊感商法を行っていたわけでもないでしょう。ですが、そうしたマイナスのブランディング効果は、数十年たったいまでも生き続けており、統一教会は名称を変更する事態に追い込まれたようです。

    平成30年からは、裁判所に訴え出ることで、霊感商法と認定され屋場合は、宗教グッズの購入を取り消すことができることになっていますが、何十年たっても話題に上るといういう意味で、霊感商法自体は、過去から連綿と続いている定番商法なのでしょう。

    統一教会は政治家とも密接にかかわっているの?

    しかし、統一教会自体、信者獲得や活動資金獲得のためのノウハウが存在し、信者を維持・拡大している宗教法人です。一定の組織力があるため、票田として、政治家との関係があったことは確かです。日本では政教分離が宣言されていますが、宗教的バックボーンが同じ政治家に信者がシンパシーを持つことは自然なことです。また多くの信者をもち、現実の社会の救済を目指している宗教法人であれば政治の世界に関心をもつこともまた当然だといえます。

    公明党は仏教系の新興宗教である創価学会が支持母体になっています。その両者の密接な関係を疑う人はいないでしょう。また公明党は創価学会員に選挙への参加を指導している話もまた有名な話です。政治的に連携している自民党との選挙面での共同歩調は言うまでもないことですし、少数党でありながら自民党に大きな発言力を有しているのも理由がないことではないのです。

    規模としては数分の1以下でしょうが、統一教会は日本での信者を50万人以上かかえる組織です。労働組合などのように一定の主張、信条がある団体は、政治活動と密接にかかわりが出てきます。投票率が低い日本の現状では、団体票は価値が非常に高いものです。票田として政治団体にすり寄ることで、特定の問題が発生した際に相談ができたり、水面下で解決できることもあるでしょう。

    例えば、新宿区の区議会議員を選出する際に、2万票得票すれば当選確実です。関与できる予算が大きいが居住者人口が少なく、投票率が低い都心の選挙区では集団票が非常に存在価値が大きくなります。

    4位までは当選ですが、5位は落選となります。この際はわずか900票程度。この違いが当落をわけるのです。固定票がいかに貴重かわかると思います。マイナーな宗教団体でも特定のエリアに信者が固まっている場合もあるでしょうし、投票と団体は密接な関係を持つものです。

    まとめ

    安倍元首相の狙撃暗殺事件でクローズアップされた統一教会について解説しました。韓国発祥のキリスト教系の新興宗教で日本でも信者が50万人以上いる一定の勢力を維持しています。1990年代のような霊感商法を組織的に推進することは控えているようですが、過去大きな問題として取りざたされたことは事実です。合同結婚式や贖罪のための寄進など、特徴的な儀式や慣行を続けているようです。明らかな違法行為は現在のところ表ざたになっておらず、警察や検察による検挙などもない状況ですが、組織的に信者からの寄付金を集める活動を行っているという指摘もありました。

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    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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