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アークキャッシュ暗号資産詐欺事件(2021年)

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20億を超えた暗号資産事件アークキャッシュ事件とは

名前は広く知られるようになった一方で、まだ詳しい実態が世間知られていない仮想通貨。その仮想通貨を利用した事件が2021年に全国規模で起こりました。大型の暗号資産詐欺とも呼ばれるアークキャッシュ事件です。

アークキャッシュ暗号資産詐欺事件は、山田大紀(26)とその妻である山田笑花(30)ほか協力者計男女6人日本人犯行グループが、架空の暗号通貨「アークキャッシュ」をカナダで上場させる計画を多くの日本の消費者に持ち掛け、不当にお金をだまし取った詐欺事件です。1500人以上から20億円をだまし取った規模の大きさと、勧誘に出会い系アプリやボイスチェンジャーを使った手法が、大きく話題になりました。

今回はアークキャッシュ事件がなぜ起きたのか、なぜ情報が豊富にある時代にもかかわらず被害が拡大したのかについて解説します。

アークキャッシュ事件の真相

仮想通貨という言葉に対する世間の知識は、資産を仮想空間に保持しその価格が上昇・下落する程度のものでした。

被害が拡大した背景には当時、仮想通貨のBTC(ビットコイン)をきっかけに億り人を生み出したことから世間で注目を浴びていたことがあります。

それを利用し、購入の際には「アークキャッシュは、現在低価格だからBTC(ビットコイン)のように高値になる可能性が高い」「今は仮想通貨ブーム」「BTCと同じように10倍以上の価値になる」といった世間のニュースに乗っかったことで人生一発逆転を狙った若者が購入していました。

また、インターネットが普及していた時代。終身雇用が終了し将来の資金作りのためにNISAやiDeCoへ投資して将来の資産を作るなど投資の重要性と日本の不安を煽るニュースがSNSなどで連日報道されていました。

それらのニュースを見て、将来に不安を感じる若い年代を中心にして被害に遭っています。

ほかにも著名人も投資している(嘘の情報)安心感や首謀者が『有吉ジャポン』(TBS系)の番組へ仮想通貨をテーマに出演したなど1種のブランディングで引っかかってしまった人がいたそうです。

1.若年層の男性をターゲットにしたマッチングアプリやSNSを利用した勧誘

アークキャッシュ事件では、電話や飛び込み営業ではなく、マッチングアプリやSNSなどインターネットを利用した勧誘方法が採用されていました。

商品が仮想通貨だったため情報を早く取り入れている20代であるのと男性をターゲットにするためです。

また、男性をターゲットにしたのは、女性を装えば警戒心が無くなり投資話に乗ってきやすくなるからである。

出会ったら実際にアークキャッシュで儲かっているエビデンスを見せつけ「私は投資で生計を立てている」「今日は○○円利益が出た」といった信頼を得る立ち回りをしていました。

つまり、投資について知識が皆無な人へ、あたかも利益が出ているかのような振る舞いをして相手の興味を投資に向けていたのです。

他にも、男性と出会う前には、ボイスチェンジャーを使用して女性を装って出会うなど準備がしっかりされていたことが分かります。

2.ICOを利用した資金調達方法

アークキャッシュ事件では、企業も利用している「ICO」という資金調達方法が利用されていました。

ICOとは、資金調達のために独自で仮想通貨を発行し販売する過程を指します。

このICOを利用したことで被害が拡大したといえるでしょう。

IPOという資金調達法を首謀者である山田大紀らが採用したことで、詐欺コイン(アークキャッシュ)が売れさえすれば、永遠に詐欺コインを作り出せるループが出来上がってしまいました。

つまり、詐欺コインが売れさえすれば儲かる仕組みが出来上がってしまったのです。もちろん中身のない詐欺コインなので、価値はガラクタ同然です。

暗号通貨を販売する場合は国(金融庁)へ登録が必要になります。しかし、アークキャッシュは国への登録を行わずに取引していました。

3.隅々まで用意された準備と被害者のその後

アークキャッシュ事件では、以下のようなことが準備されていました。

・事業計画書をインターネット上に記載(拠点はカナダ)

・ターゲットを20代男性に設定しマッチングアプリを主に使用

・マッチングアプリ使用時はボイスチェンジャーを利用し女性を装う

・テレビ番組『有吉ジャポン』(TBS系)へ出演したブランディング(テーマは仮想通貨)

・SNSには高額な買い物を投稿

・PHPやRubyなどのプログラミング言語を利用して作られた偽の取引画面

とくに、事業計画書と偽の取引画面については多くの人が騙された原因でしょう。

事業計画書をアークキャッシュを発行すると同時にインターネット上に記載されました。

ポイントは、拠点が海外(カナダ)であった点です。営業トークの中で「日本ではなく海外を拠点に流通させる」と説明し、儲かるときのリターンの大きさを自然にアピールしています。

また、BTC(ビットコイン)もアフリカのフロリダ州がきっかけです。

そのため、海外で流行らせると主張することで信ぴょう性が上がります。

ほかにも、FXの投資詐欺でも利用される偽の取引画面です。

これを実際に見せることでエビデンスとして安心感へとつながります。

投資は損したくない人が99.9%、もしかすると全員が損したくないことでしょう。

取引画面を実際に見せることで架空のものを現実味のあるものへと変え、購入前のクロージングの方法として使われていました。

被害者の購入後に関しては、被害にあったお金は戻ってきませんでした。

理由は、アークキャッシュを購入してから0円の価値しかないことが判明し、さらに連絡を取り合っていた人と連絡が取れなくなったからです。

また、特定を試みても仮想通貨などの暗号資産は銀行とは異なり困難でした。

だからこそ、詐欺集団が選んだともいえます。

被害に遭わないために暗号取引登録されているか確認する

この事件は、先ほども説明したように、金融庁へ暗号取引登録されていなかったため、逮捕へつながったケースです。

しかし、将来的な観点で考えると詐欺コインがすでに存在する可能性やこれから出てくる可能性は0ではありません。

アークキャッシュ暗号詐欺事件を振り返って、本当に恐ろしい点は、「開発途中の暗号資産」と「詐欺を目的とした暗号資産」は、上場するまで全く見分けがつかない点です。アークキャッシュは、存在しないものをあたかもあるかのように作られた暗号資産でしたが、開発目論見書や上場計画、管理画面などを備えていました。

実際に上場する気がない詐欺コインと実力不足で上場できない詐欺コインを見分けることは非常に困難です。

あえて見分けるとすれば、アライアンスや出資話だけではなく、開発者が実名を公開し活動をSNSなどで公開しているか、開発ロードマップ通りに機能を開発しているかなどを確認することが有効と言われています。多くの詐欺コインが開発者を伏せ、開発計画通りに開発が進んでいないためです。

取引所に上場している暗号資産も、通貨とは違って国が価値を保証したものでもなく、証券のように国が運用を見守っている制度でもありません。最も広く普及しているビットコインですら50%以上価格が下落するほど不安定な市場な上、運用も不透明です。その上次々に儲かる新しいスキームが生み出されているため、勉強をしても損をしたりだまされたりするリスクをゼロにすることは難しいと言えます。

そのため、購入する前に暗号資産取引所で取引されているかを必ず確認すること。

また、「日本限定」「先行販売」などの文言は通常ではありえないため、詐欺であると考えることが大切です。

また、セミナーや個人間でのクローズドな場での勧誘は100%といっていいほど詐欺である可能性があります。

文言に関する分野でいうと、広告やホームページでよく利用される「〇〇No1」「顧客満足度No1」の文言はお金を支払えば作れるため、注意してください。

正確には、世の中にはNo1を見つけてくれる会社が存在します。

その会社へお金を支払いNo1を見つけてもらい、No1を宣伝しているケースがあると頭の片隅に置いておきましょう。

一番注意が必要なのは、顧客満足度No1の文言です。

顧客満足度No1は、アンケート対象をNo1になるように設定すれば顧客満足度がNo1になってしまいます。

そのため、どこから得た情報で誰を対象にしたデータかをしっかりと見るように意識しましょう。

世の中には、人間心理などを利用してパッと見は、嘘ではないが良く考えると嘘になるものが多いため、購入前に自分がどういう理由で購入するかを立ち止まって冷静に考えることが大切になってきます。

[まとめ]知らないからこそ人の話を鵜吞みにしない

詐欺に遭わないためには、知らないことを調べる意識を持ちましょう。

しかし、知らない分野での投資話であれば、尚更分からないことがほとんどでしょう。

そして被害者が多ければ多いほど、相手は詐欺集団の中でもプロ(トップ層)である可能性が高いです。

そのため、何も太刀打ちできないケースがほとんどになります。

それでも投資と詐欺の読者の皆さんは、リスクに挑戦し、大きなリターンを得たいと考えている人が多いと思います。健全なチャレンジ精神は投資の原動力です。リスク性投資をむやみに恐れるのではなく、理性的に取り組むことは投資の醍醐味でもあります。その為にも数年単位で情報収集と勉強を続け、信頼できる有識者を見つけること、その人の意見を参考にしながら自分がとれるリスク投資の範囲を決め、実際に投資してみることが重要です。暗号資産を日本で購入してみると日本の市場が如何に消費者を保護しているかがわかるでしょう。また海外市場で直接購入するとマージンが非常に高いということもわかると思います。そこで大切になってくるのが「投資をするうえで知らない人の情報は鵜吞みにしないこと」「実際に自分が小さく挑戦して確かめること」「失ってもよい金額の中で挑戦すること」です。

そもそも投資とは、儲かる人と損する人がいることで成り立っています。

専業トレーダーという職業があるにもかかわらず「何も知らない素人が勝てるほど」投資の世界は甘くないことを肝に銘じておきましょう。ただ人にいわれた通り行動するだけでは損をしても仕方がありません。

この意識を持つだけでも詐欺の被害に遭う人は格段に減少するはずです。

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