東京のタワーマンションの価格が高騰している。落ちる落ちると言われながら依然高い水準を推移しています。そんな中「基本的なことでおそれいります。新築1.5億円のタワマンを購入して手付金約1,500万円を払ってフルローンを組むとします。例えば引き渡し前後で2億円で売却する場合、残債1.4億円は月々支払い続けるのでしょうか?2億円はそのまま入ってくるのでしょうか?」という質問が不動産投資家の界隈で話題になりました。
ついに「靴磨きの少年が投資の話をし始めた」のではないか。
このフレーズは、1930年代の大恐慌前夜、ジョセフ・P・ケネディ(ジョン・F・ケネディ元大統領の父)が、靴磨きの少年から株式投資の話を聞いた際に「市場が過熱している」と直感し、全ての株を売却して難を逃れたという話に由来します。口が悪いX民のいうところの「逆神」というやつでして、同様なものに「暗号通貨のCMが流れると暴落が近い」という昔でいうところのマーフィーの法則的なやつです。
目次
売却したら借入金への返済に回るはず
とりあへず、どういうことが相談されているかを考えてみましょう。
前提条件
- 購入価格: 1.5億円
- 手付金: 1500万円
- 残額(ローン借入額): 1.35億円
- 購入後すぐに売却予定(引き渡し前に売却)
- 売却価格: 2億円
質問内容
- 売却後も残額1.35億円のローンを月々支払い続ける必要があるのか?
- 売却金額の2億円がそのまま手元に入るのか?
解説
- 売却によるローンの精算 通常、不動産を売却するときには、その売却金で残債(ローン)を一括返済します。したがって、売却後に1.35億円のローンを月々支払い続ける必要はありません。売却金額(2億円)からローン残高を引いた差額が、売却益として手元に残ることになります。
- 売却益の計算 売却価格: 2億円
ローン残高: 1.35億円
手元に残る金額:2億円−1.35億円=6500万円2億円 – 1.35億円 = 6500万円2億円−1.35億円=6500万円さらに、仲介手数料や登記費用、譲渡所得税などの諸費用が発生する場合があり、それらを差し引いた金額が最終的な売却益となります。 - 引き渡し前に売却する場合 売却が「引き渡し前」になると、契約内容やローンの種類によっては特別な手続きが必要です。また、売却時点でローンが全額実行されていない場合(引き渡し後のローン実行など)、売却益の流れが異なる可能性もありますので、事前に金融機関や不動産業者に確認が必要です。
結論(普通の場合)
- ローン残高は売却時に一括返済されるため、月々支払い続ける必要はありません。
- 売却益(差額)として2億円から残債(1.35億円)と諸費用を差し引いた金額が手元に残ります。
具体的なシミュレーションをする場合、諸費用や税金を考慮する必要がありますし、この相談をしている人がどのような形で資金調達を行うかにもよります。
靴磨きの少年的な無知とはどの辺?
こんな住宅ローンとフリーローンを混同したような人までタワマン転売を語り始めたので、ついに「靴磨きの少年が投資の話をし始めた」のではないか、という話が投資家界隈で話題になっているわけですが、その「ざわざわ感」を少し解説してみます。
- 住宅ローンとフリーローンの混同
一部の個人が、金融商品の基本的な仕組み(住宅ローンの返済義務や転売時のキャッシュフローなど)を理解しないまま、不動産転売について語り始めている様子が見受けられます。これは市場全体の過熱や投資ブームの兆候として、警戒すべきサインと考えられます。 - タワマン転売ブーム
タワーマンションは一部地域で資産価値が高いとされ、投資対象として注目を集めています。しかし、これが過剰な期待や過大評価につながり、初心者や知識の乏しい人々までが参入している状況が、投資家たちの間で懸念されています。 - 「靴磨きの少年」のアナロジー
投資の世界では、多くの人が簡単に利益を得られると感じ始めた段階がバブルのピークとされることが多いです。この状況において、知識の浅い人々がリスクを顧みず投資や転売に参加するのは、クラッシュの前兆として注視されています。
投資家界隈での警戒感
このような状況に対し、経験豊富な投資家たちは以下のような点を懸念しています:
- 市場の過剰な楽観やバブル形成
- 不動産市場の需給バランスの崩壊
- 価格が実態から乖離し、暴落につながる可能性
教訓と注意点
- 基礎知識の重要性: 不動産投資や金融商品の仕組みを正しく理解することが不可欠です。
- 過熱市場への警戒: 大衆心理に流されず、冷静に市場動向を分析する必要があります。
- リスク管理: レバレッジやローンを利用する場合、リスク許容度を超えた投資を避けるべきです。
もちろんこの相談者が非常にキャッシュリッチな投資家で、用途自由のフリーローンで借り入れた場合は、2億から税金を差し引いた金額が手元にのこり、月々の返済を行うだけで済むかもしれません。(面白がって話題を提供している確信犯かもしれませんが)
タワマン加熱の終わりは近いか?
最近、住宅ローンとフリーローンの仕組みを混同したままタワーマンション転売の話題に乗る人が増え、投資家の間で「靴磨きの少年が投資の話をし始めた」という状況ではないかと話題になっています。この現象は市場全体の過熱やバブルの兆候とされることが多く、注意が必要です。基礎的な金融知識が不足したまま参入する人々が増えることは、不動産市場の需給バランスを崩し、価格が実態以上に膨れ上がるリスクを高めます。
特に、不動産の価値が上昇し続けるという楽観的な期待だけで取引が進む場合、価格が突然下落する暴落のリスクが現実味を帯びてきます。投資においては、市場の状況を冷静に見極め、短期的な利益にとらわれず、慎重なリスク管理を行うことが不可欠です。このような市場環境では、過剰な期待に踊らされず、長期的な視点を持つことが、より安全な投資活動につながるでしょう。