不動産投資の成功・失敗を決めるのは、物件を選ぶところが大きなカギとなります。物件選びは注意すべきことが多いため、不動産を購入するまでの流れごとにポイントを押さえることが大切です。不動産投資は金額の高い投資となるため、ポイントを知っておくことで大きな安心にも繋がるでしょう。今回は、不動産投資の物件を購入する時の大きなポイント(前編)をご紹介します。
目次
不動産投資について情報収集しよう
不動産投資の物件を探すのは、自身での情報収集から始まります。しかし、不動産投資の情報収集は「何から調べたら良いの?」という方も多いでしょう。情報収集をすることで、どのエリアでどのような物件を選ぶかどうかが決まってきます。
情報収集をして把握したいポイントは大きく分けて3つあります。
1.希望エリアの特徴
2.希望エリアの相場
3.資産価値の基準
この3つのポイントを家族や友人に自分の言葉で説明できるようになると、自信をもって物件を選ぶことができるでしょう。
調べ方は、様々ありますが、まずはインターネットでSUUMO、HOME’S、at homeなどの不動産ポータルサイトを見るところからスタートしましょう。検索すると、実際に物件が出ている情報を見ることができます。不動産投資家でない人が想像しているよりも、はるかに多くの物件が売りに出され、実際に売買されていきます。半年、一年のスパンで見ていくと安く売りに出されていた物件が姿を消したあと、リフォームされて、再度売りに出てくるなどを目にすることも出てくるでしょう。
また不動産ポータルサイトごとに、特色があることに気が付くはずです。SUUMOは物件数が多いけれど、一定以下の金額の物件は少ない、at homeやニフティ不動産は他のポータルサイトに載っていない古くて安い物件が載っている、大手不動産デベロッパーのポータルサイトは物件数が少ないなど、中小不動産でデベロッパーのサイトは会員登録しないと物件価格が見えないことが多い、など不動産ポータルサイト物件ごとに個性があります。
また健美家など、不動産投資家向けのポータルサイトもあることに気が付くことでしょう。不動産投資家が判断しやすいように利回りなどが明記され、検索も充実していますが、表面利回りが低い物件しか掲載されていないように見えるかもしれません。
たくさんの情報源がありますが、どのサイトが一番良いかは投資家自身の戦略(予算と儲け方)によって変わってくるので、一概にはいえません。そのためはじめは複数のサイトを見ていくことが良いでしょう。
自分が勝負するエリアを決めよう
情報収集を始めたら、自分が勝負できそうなエリアを絞っていきます。物件を決める時の第一歩が「エリア決め」です。エリアを決めるということは、下記のポイントも決めるということにもなります。
- 物件価格の予算
- ターゲット層
- 投資形態
エリアによって物件の相場が変わってくるため、物件価格の予算が変わってきます。主要駅であることや駅近物件であれば、その分相場が上がってしまうので予算とのバランスを見て考えましょう。
また、エリアによってターゲット層が決まります。首都圏近郊であれば、シングルやDINKSが多いエリアになるので、そのターゲット層に合った間取りや専有面積の物件を選ぶことがポイントです。
都心部から少し離れたベッドタウンであれば、都心部へのアクセスやファミリーでも住める間取りなど、首都圏近郊とは異なる条件で物件を見る必要があります。
このようにエリアが決まると同時に、ターゲット層に合わせた物件の条件も見えてくるでしょう。
どこから手を付けてよいかわからない場合は、自分がいま住んでいるエリア、実家のあるエリア、自分が引っ越したいエリアなどを調べることから始めてもよいでしょう。土地勘がある、実際に存在するニーズがあるところから情報収集を始めることで、「もしここを買ったとして、この家に住んでくれる人は、不動産賃貸サイトを調べるはず。いまat homeで購入する物件を探しているけど、賃貸の時は自分ならSUUMOを調べるかも」など自分なりに調べるべき点や注意点が見えてきます。この過程が非常に重要です。
そのうち「1億円以上の物件は、自分の予算では見ても買えないので時間の無駄。借金は怖いので、500万円以下の物件をなるべく借金を少なく現金多めで買いたい」「土地勘がある実家そばの物件を買って両親に管理してもらおう」「マンションは管理費が高いから儲けにくい」「築古の中古戸建を買って、リフォームする」などの自分なりの作戦に基づいて、物件情報を集めながら、自分なりの投資戦略が生まれてきます。(例に出した築古で安価な一戸建てを狙う購入戦略は「築古ボロ物件投資」などの愛称で呼ばれています。)
不動産会社へ問い合わせしよう
数か月物件情報を集めていると、おおよその狙いどころが固まってきます。エリアが決まり、物件の種別がきまり、毎回検索する条件が決まってくれば、そのうち「これはいい!」という物件も出てくることでしょう。
ですが、不動産物件は、Amazonで本を買うように物件をネットから購入することはできません。実際に購入する際は、売主から直接購入するか、免許を持った不動産業者から購入する必要があります。具体的には、掲載している不動産ポータルに掲載されている不動産会社へ問い合わせをしてみましょう。いまも販売中なのか確認できますし、見学が可能か、内見が可能かを確認することができます。(「専任媒介」と記載がある場合、その物件は特定の不動産業者が独占で販売している物件です。売主の事情をよく知っている担当者がついていると思うので、どんな売主がなぜ売り出しているのか、いつごろまでに手放したいと思っているかを聞くことができます。)
また不動産業者には、インターネットで公開されている物件情報の他に、その業者だけが持っている未公開の物件情報もあります。今回見たい物件と似たような条件の物件を教えてくれるかもしれません。
不動産業者は不動産物件のプロです。この機会にエリア、間取り、面積、予算など希望条件を伝えて、いろいろな情報を教えてもらいましょう。また、物件情報だけでなく、エリアの情報や不動産市場の情報なども、プロから聞くことは不動産投資のプラスとなります。
物件の内覧・現地確認が大事
希望に近い物件が見つかったら、次は内覧と現地確認です。内覧は、物件の室内はもちろん、設備や眺望、日当たりも含めてチェックします。図面や写真の情報だけではわからないことがたくさんあるので内覧は大切です。そして、室内だけでなく共用部分を確認することも大きなチェックポイントになります。
共用部分とは、アパートやマンションなど集合住宅のエントランスやメールボックス、駐車場、廊下、エレベーター、ゴミ捨て場などに当たりますが、意外とここが内覧の大事なところ。共用部分の状態を見ると、集合住宅の管理体制や住人の層が見えてきます。
例えば、エントランスやゴミ捨て場が汚れていることや、マナーが守られていないことがあれば、管理会社の手が行き届いてない、または住民のトラブルがある可能性があると判断できるでしょう。
さらに、物件だけでなく現地の周辺環境もチェックします。周辺環境の利便性や騒音、ターゲット層に合った環境なのかを判断しなくてはいけません。また、ベランダ側がどのような立地かも、周辺環境を見るひとつのポイント。駐車場や古いアパートなどの場合は、将来的に建て替えて高いマンションができてしまう可能性があります。そうなると、室内からの眺望や日当たりに影響が出て、物件の価値低下に繋がってしまうので見逃せないポイントになるでしょう。
プロに内見同行を依頼しノウハウを学習する
ですが内見をする際に、自分の目だけで、瑕疵となる点や、貸出の際に必要十分なポイントを把握しきれないと不安を感じる方もいることでしょう。素人のみの判断で不動産物件を購入することに不安を感じる場合は、プロに同行してもらうのも手です。
一級建築士の中には建物の性能という観点で、物件を評価してくれる人もいます。購入時に瑕疵担保として売主に直してもらう(価格交渉できる)点を洗い出してもらうこともできるでしょう。また不動産投資家による物件同行をお願いした場合は購入戦略や貸し出し戦略で経験に基づくアドバイスをしてくれることでしょう。
買い付け連絡する際に指値をどの程度で出すべきかも、こうした専門家との相談の中から決めていき、経験を積んでおくことも有効です。
はじめての買付申込の提出
気に入った物件が見つかったら、買付申込を提出します。はじめての方には緊張するポイントになるでしょう。買付申込とは、物件が気に入ったら不動産会社や売り主に買いたいという意思を伝える書類です。基本的には不動産会社のフォーマットに記入をしますが、必ず買わなくてはいけないという書面ではないのでご安心ください。
ただし、買う意思がないものに買付申込を提出することはマナー違反であり、とりあえず出しておこうというのはやめるべきです。不動産は、同じエリアで複数購入できると、管理の面でメリットが出てきます。同じ不動産会社からの物件案内を受け取ることができるように、毎回の取引でよい印象を残せるように心がけていきましょう。
このような流れで、情報収集から買付申込が進んでいきます。
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引き続き後編では、実際に買い付け申し込み以降のステップをみながら、物件購入の流れを学んでいきましょう。