不動産投資は、家賃収入や売却利益などによって将来の資産形成や日々のキャッシュフロー状況を改善させるのに役立つ、優れた投資対象です。
2019年に発表された金融庁による金融審議会では、年金2,000万円問題が大きな話題となりました。終身雇用の崩壊や労働者不足問題による企業業績の悪化、給料の均一化などのさまざまな問題が発生しているため、年金対策が気になっている方もいるのではないでしょうか。
不動産投資は正しい物件選びや財経管理を行うことで、安定化させて年金対策を取ることもできます。一方、注意点やリスクなどを把握しておかないと、資産状況が悪化する事態にもなりかねません。
今回は、不動産投資による年金対策の可能性や注意点などを紹介します。正しい知識を身につけて、大切な資産を守りながら増やしていくための参考にしてください。
目次
不動産投資は年金の代わりになる
不動産投資で老後の資産形成を行う選択は、正しい場合もありますが注意すべき事も含まれています。
令和4年4月からは年金制度が改正されて、繰下げ受給の上限年齢引き上げなどの見直しにより、上限年齢70歳から75歳に引き上げられました。年金がなくなることはありませんが、今後も受給率の調整による受給年齢の見直しが行われて、80歳になるのではないかとの意見も出ています。資産状況やライフスタイル、就労状況などによっても最適な受給タイミングは異なるため、不動産による年金対策のほかに日本年金機構の情報も把握しておくことが大切です。
不動産投資での「家賃収入」を年金代わりにする
不動産投資での代表的な収益化方法には、区分マンションやアパ・マンを購入して希望者に貸し出しながら収益化させる「家賃収入(インカムゲイン)」が挙げられます。
入居者を募集する営業活動を不動産管理会社に委託する方法や、個人で不動産経営の全般を行う方もいますが、どのような方法を取るかによっても収益率は変動。また立地条件や地域情勢、新築・築浅・築古の物件条件、単身者向け・ファミリー向けなどの、さまざまな物件内容によっても入居率や家賃収入が変化します。
不動産投資での「売却益」を年金代わりにする
不動産投資で年金対策を行う際には、家賃収入のほかに購入した物件を高く売却して、その利益を老後の年金に充てる方法もあります。
家賃収入とは異なり継続的な収益は発生しないものの、場合によっては一度の取引で1,000万円以上の利益が発生する可能性があるのが特徴。数百万円単位での売買を繰り返すことも可能なので、短い期間で一定の資金を用意して年金対策したい方に適しています。ただし、これも注意が必要なのが短期間での売買を繰り返すこと。具体的な要件は定められていませんが、継続的に反復した売買を行うことで、不動産事業者として見られてしまい、宅建免許が必要とみなされると宅建業法違反ということになってしまいます。
一方で物件を安く購入するための相場感や、人気の高い物件に着目する目利き力などが求められるため、最初は不動産についての勉強をしなければいけません。
不動産投資が年金代わりになる仕組み
不動産投資をはじめる際には、安くても1,000万円前後のアパ・マン物件を購入する必要があります。一方で、優良物件を購入できれば、長期的に安定した持続収入も期待できます。
不動産を年金代わりにする仕組みを正しく理解することで、同時に落とし穴や注意点も見えてくるので、ぜひ参考にしてください。
持続的な「家賃収入」が見込める
購入した不動産物件に入居者がいる場合、毎月の家賃分を家賃収入(インカムゲイン)として見込める形態が特徴です。
不動産物件のローンを返済する期間は、家賃収入の一部を充てます。しかしローン完済後には、自由に使える家賃収入の割合が増えるため、老後の年金対策にも最適です。
インフレーションに強い
不動産はインフレの影響を受けにくいため、モノの価値が上昇しても消費者の購買意欲が下がりにくい関係から、投資対象として人気が高いのが特徴です。
立地条件に恵まれた不動産物件であれば、利用したい入居者も多くなるため、長期的にも安定した収入が期待できます。また「貸し出してもよし」、「売却してもよし」という価値の高い不動産物件であれば、さらに老後の対策幅も広がることでしょう。
不動産投資を年金代わりにする際の注意点
不動産投資で年金対策をする際には、物件のグレードに注意して購入しないと、かえって老後に大きな負債を抱えてしまうことになるので十分に注意しましょう。
特に不動産投資で年金対策を検討している方は、以下の内容に注意してください。
<不動産投資で年金対策を行う際に注意すべきこと>
- ローン完済後も修繕費などが定期的に発生するので家賃収入を100%使えない
- 家賃価格が大幅下落する可能性もあるので長期間にわたって安定的とは限らない
- 空室リスクが高まると安定した家賃収入も期待できない
- 老後の年金対策になる優良物件は少ないので営業マンの話を簡単に信じない
不動産投資で長期間にわたる安定した家賃収入を目指す場合、上記以外にも注意すべき点は多くありますが、なかでも上記の内容には要注意です。立地条件や物件グレードの高い不動産は、投資家の間でも大きな人気を集めるので、簡単に購入できません。
まずは、座学などで不動産に関する基本的な知識から深めることを心がけましょう。
不動産投資における年金対策が向いてる人はどんな人
不動産投資での年金対策が適している場合は、老後に向けてさまざまな対策が行えます。一朝一夕で、すぐに優良物件を探すことはできないため、不動産投資に必要な知識を身につけて、安心のできる老後を過ごすための参考にしてください。
不動産投資での年金対策が向いている人
不動産投資での年金対策が向いている人は、自分で不動産や年金、そのほか金融に関する知識を学ぶ姿勢を大切にしている人です。
多くの場合で、不動産投資の話は不動産営業マンから持ちかけられることが大半。
しかし不動産に関する知識があれば、営業マンの話にも疑問を抱いたり質問を投げかけたり、リスクを下げながら不動産投資を行えます。投資にはさまざまなリスクが存在するからこそ、自分で知識を身につける姿勢の人が向いているといえるでしょう。
不動産投資での年金対策が向いていない人
不動産投資で年金対策を行うのが向いていない人は、不動産営業マンの話を鵜呑みにして、自分では年金や不動産などの金融の勉強をしない人です。
不動産に限らず投資は、うまくいくと人生を大きく好転させてくれますが、リスクなどをしっかりと把握しておかないと、大きな負債を抱えることにもなりかねません。ましてや老後に大きな負債を抱えると、その後の人生も安心して生活できなくなる可能性が高まります。
簡単に年金に代わる優良物件は見つからない事実や、投資に必要な勉強は必須なので、楽な道はないことを肝に銘じておきましょう。
まとめ:不動産投資は老後の年金代わりになるが注意点も多いので気をつけよう
不動産投資で老後の年金対策を行うことは可能です。しかしリスクや注意点をしっかりと把握して、投資に関する基本的な知識から身につける必要性も意識しましょう。
不動産投資で失敗する多くの場合は、不動産営業マンの話を鵜呑みにしたり投資に関する勉強を行わずに契約してしまうケースです。購入後に、予想以上に維持管理費が発生する場合や、予想よりも空室率が高まって家賃収入が望めない事態も考慮する必要があるのです。
特に年金に利用するということは、10年後、20年後、30年後の家賃収入を考える必要があります。今、買った物件が果たして30年後、どうなっているでしょうか?周りにどんな物件があるのでしょうか?非常に長期的なスパンになりますので、一度買ってもその後の物件の運用をきちんと行う必要があります。場合によっては新しい物件へ物件の入れ替えが必要になるかもしれません。
投資に関する知識を身につけながら、あらゆるリスクを想定したうえで、不動産物件を購入する必要があります。ぜひ今回の内容を元に、安心・安全の不動産投資による年金対策をご検討ください。