暗号通貨市場やFX取引市場で注目すべきリスクの一つに「カスケード清算」があります。カスケード清算は、多くの投資家が予期せぬ大損失を被る原因となっています。本記事では、カスケード清算のメカニズムと、その予防策について詳しく解説します。
目次
カスケード清算とは
カスケード清算(デレバレッジとも呼ばれる)は、市場での連鎖的な強制決済現象を指します。上げ相場で大きく市場が伸びている場合でも、利益確定売りやネガティブなニュース一度の下落が引き金となり、レバレッジを使用したポジションが次々とロスカットされ、さらなる下落を招く悪循環が発生します。資金余力がある勝ち組は大きな下げがあっても耐えきれるのですが、資金余力の少ない投資家は、全資金を失うなどの大きなダメージを受けるわけです。
カスケード清算はなぜ発生するのか
主な発生要因は以下の通りです:
- 市場参加者の過剰なレバレッジ使用(25倍、100倍など)
- ロングポジションへの一方的な偏り(BTCロング!HODL!といった機運)
- 重要な価格帯での大量の損切りライン集中(10万ドル突破!など)
- 市場の流動性不足
健全な市場ではロング(買い)とショート(売り)がほぼ均衡しています。しかし2024年11月にみられるような、「BTCの半減期後のアノマリーでBTCが高騰するはず」「アメリカ大統領選でトランプ大統領が勝利し、暗号資産重視の政策が始まるはず」などの上げ相場材料が多くでると、ショートが合理的な選択肢でないという趨勢が主流になります。
誰が被害に遭いやすいのか
そうするとみながロングポジションを取るのですが、現物での購入だけではなく、レバレッジを利かせた取引で大きな利益を出そうという投資家も増えます。特に以下のような投資家が大きな損失を被るリスクが高まります:
1. 過剰なレバレッジユーザー
投資の安全度を軽視した利益重視の投資スタイル。資金が100万円あった場合、BTCの価格上昇機運に乗りたいということで100倍のレバレッジ取引のBTCロングに全額投入してしまうようなスタイル。
- 証拠金以上の取引を行う(25倍、100倍など)
- 追加証拠金に対応できない(全資金をロングに)
- 資金管理の意識が低い(安全率などは考慮していない)
2. リスク管理が不十分な投資家
BTCの価格上昇機運に乗りたいという気持ちから、ロングポジションを持つが、価格下落のリスクを意識せず、取引にも組み込めていない。
- 適切な損切りラインを設定しない(長期保有前提なので損切設定なし)
- ポジションの分散を行わない(全資金BTCへ)
- 市場分析を怠る(経済指数の発表などによる一時下げ、年末の利確売りなどをみていない)
3. 感情的な投資判断を行う人
BTCの価格上昇機運に乗りたいという気持ちだけで、ロジカルなエントリーやイグジットのプランがないままに思いついたタイミングですぐにポジションをあけてしまう。価格がどこまであがれば手放す、どこまで下がれば手放すという出口戦略がないまま始めてしまう。
- FOMO(投資しないことによる損失不安)に流される
- 損失を取り戻そうとするリベンジトレード
- 「必ず戻る」という根拠のない期待
具体的な予防策
現物取引では考慮しなくても良いのですが、レバレッジをきかせた取引では、カスケード清算のリスクが多かれ少なかれ発生します。カスケード清算のリスクから身を守るために、以下の対策が必要です。
レバレッジの適切な管理
レバレッジ取引はポジションの強制決済のリスクをはらんでいます。強制決済をうけると取引金額が全損します。全損しないようなリスクヘッジが必要です。
- 取引額は証拠金の2-3倍程度に抑える
- 余裕資金を確保しておく
- 複数のポジションに分散する
シンプルで明確なリスク管理
投資には明確な投資開始基準、撤退基準が必要です。冷静な投資というためには以下3点で自分なりのポリシーを持っておくとよいでしょう。
- 明確な損切りラインの設定
- ポジションサイズの適正化
- 市場の流動性チェック
冷静な判断力の維持
自分の投資行動が事前に決めた投資基準に適合しているか。現状の市場状況が合致するかを正所に判断できているか。こうした投資判断が冷静さに行えているかを自覚することが必要です。
- 感情的な取引を避ける
- 市場分析に基づく判断
- 長期的な投資戦略の策定
まとめ
仮想通貨市場での取引は、高いリターンが期待できる反面、カスケード清算のようなリスクも存在します。適切なリスク管理と冷静な判断力を維持することで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
投資は自己責任が原則です。市場参加者一人一人が、このようなリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。