オリエンタルランドの株価が2024年後半、大きく下落しました。その要因は複数あります。大幅下落した状況を見ると買いのタイミングのようにみえますが、実態はどうなんでしょうか。この記事では、オリエンタルランドの株価が下落した理由と買い材料があるかを検討してきたいと思います。
1. 京成電鉄による株式売却
オリエンタルランドの筆頭株主である京成電鉄は、2024年11月27日に保有するオリエンタルランド株の一部(1,800万株、約618億円相当)を売却しました。
この売却は、英アクティビストファンドの要請を受けたものであり、市場における需給バランスの変化が株価下落の一因とされています。
2. 業績予想の下振れ
2024年度第1四半期の営業利益が市場予想を下回ったことが報じられています。これにより、投資家の間で業績に対する懸念が広がり、株価に下押し圧力がかかった可能性があります。
3. チケット価格の値上げ
2023年10月に東京ディズニーリゾートのチケット価格が過去最大の値上げ幅で引き上げられました。この急激な値上げにより、消費者の購買意欲が減退し、来園者数の減少につながった可能性があります。
4. 高い株価指標(PER)の是正
オリエンタルランドの株価収益率(PER)は約70倍と高水準であり、割高感が指摘されています。市場全体の調整局面や投資家の利益確定売りにより、株価が下落したと考えられます。
これらの要因が複合的に作用し、オリエンタルランドの株価下落を招いたと考えられます。
目次
なぜ京成電鉄は株を売らなければならなかった?
大株主であるオリエンタルランドが売却したのは、ファンドの圧力がおおきいとされていますが、それ以外の原因はあるのでしょうか?もしオリエンタルランドの業績に陰りがあるのであれば、買いにくい印象もあります。
そこで改めて京成電鉄がオリエンタルランド(OLC)の株式を売却した背景を考えてみましょう。
1. アクティビストからの圧力
英国の投資ファンド、パリサー・キャピタルは、京成電鉄に対し、OLC株の保有比率を15%未満に引き下げ、売却益を成長投資や株主還元に充てるよう求めていました。
2. 資本効率の改善
京成電鉄は、保有するOLC株の時価総額が自社の時価総額を大きく上回る状況にありました。このため、資本効率の改善や株主価値の向上を図る目的で、株式の一部売却を決定したと考えられます。
3. 事業投資資金の確保
成田空港の拡張計画に伴い、京成電鉄は輸送力強化のための設備投資が必要とされています。OLC株の売却益は、これらの投資資金や株主還元に充てられる見込みです。
これらの要因が重なり、京成電鉄はOLC株の一部売却に踏み切ったとされています。
持っていた方が収益得られた可能性は?
京成電鉄がオリエンタルランド(OLC)の株を持ち続けた場合、将来的な収益獲得の可能性については、以下のような視点が考えられます。
1. オリエンタルランドの成長性
- 東京ディズニーリゾートの運営を手掛けるOLCは、依然として安定した集客力と高い収益性を維持しています。
- さらに、来場者単価の上昇や新エリア(ファンタジースプリングスなど)の開業により、将来的な利益成長が期待されていました。
→ 株価上昇の恩恵を受け続ける可能性があった。
2. 長期保有による配当収入
- オリエンタルランドは配当金よりも内部留保や投資に注力していますが、株価が上昇すればキャピタルゲイン(売却益)が見込めました。
- 京成電鉄の長期保有によって、OLC株価の上昇トレンドに乗り、資産価値をさらに拡大できた可能性もあります。
3. 資本効率の問題
- 京成電鉄は大量のOLC株を保有していたため、時価総額の多くがOLC株に依存していました。
- 株式市場からは「本業(鉄道事業)への投資不足」や「株主価値の向上不足」との批判もありました。
→ 持ち続けることで資本効率の改善が遅れ、株主からのプレッシャーが強まるリスクもあった。
オリエンタルランドの成長性を考えると、持ち続けることで将来的な株価上昇や収益拡大を享受できた可能性はあります。しかし、京成電鉄は資本効率の改善や本業強化への投資を優先し、短期的な利益確定を選択した形です。
これにより、持ち続けた場合の「収益の最大化」という観点は放棄された一方、リスク回避や事業運営の安定化を重視した判断とも言えます。
ということはオリエンタルランドは買いでは?
やはり外部要因で業績が落ちている優良企業を買うべしという原則に従うと、オリエンタルランドは買いのような印象を持ちます。お年玉を握りしめて買うタイミングを見定めたいものです。