著しい経済成長を遂げ、世界中の富裕層が集まる都市ドバイ。
ドバイは不動産投資に好都合な条件がそろっており、高利回りを期待できることから投資家からの注目も高まっています。一方、ドバイ不動産投資のデメリットをしっかり把握しておかなければ、詐欺に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。
この記事では、ドバイ不動産投資のメリット・デメリットや、詐欺事例をご紹介します。不動産投資を巡る詐欺に巻き込まれないためにも、記事を最後まで読んで知識を身に付けましょう。
<この記事は、こんな方におすすめです!>
- ドバイ不動産投資に興味がある
- 不動産投資のリスクを知りたい
- 詐欺に遭わないための対策を知りたい
目次
ドバイ不動産投資とは
ドバイ不動産投資とは、アラブ首長国連邦の都市ドバイの不動産を運用する投資手法です。移民が多いドバイは、不動産の需要の高さに加え、税金面でも投資家にメリットのある都市です。
産油国であるドバイで行える投資
ドバイがあるアラブ首長国連邦は世界でも有数の産油国です。
潤沢な石油収入によって急激な経済成長を遂げ、世界一の高層ビルであるブルジュ・ハリファ、ザ・ドバイ・ファウンテン、ドバイモールなどの華やかな観光スポットが連なっています。
いまやドバイは世界中の富裕層が集まる都市となり、移住者も増えています。人口増加にともなって不動産の需要はさらに高まり、キャピタルゲイン(売却益)も期待できる状況。資産のリスク分散として、ドバイの不動産へ投資する投資家も大勢います。
世界的にも有名な租税回避地
日本で不動産投資を行う際は、固定資産税や印紙税、贈与税、相続税など多額の税金がかかります。一方で、ドバイは世界でも有名なタックスヘイブン(租税回避地)で、税金がほとんどかかりません。2018年までは消費税すらありませんでした。
キャピタルゲインに対する課税もないため、収益をほとんど自分のものにできます。ドバイは不動産投資を行う投資家にとって、非常に好都合な条件がそろっている都市だといえます。
ドバイ不動産投資のメリット
ドバイ不動産投資には以下の3つのメリットがあります。
- ドバイ不動産の取得で居住用ビザが取得できる
- 世界中から注目されているため高いリターンが期待できる
- 長期的な成長が見込める市場
日本で不動産投資を行うよりも比較的リターンが大きい点が人気の理由です。
ドバイ不動産の取得で居住ビザが取得できる
ドバイ不動産投資の最大の特徴は、不動産を購入すると居住ビザが取得できることです。
具体的には、以下の居住ビザを取得できます。
- 75万AED(約2,700万円)以上の物件購入で3年
- 200万AED以上(7,200万円)の物件購入で5年
※2023年3月現在_1AED=36円台
また、ビザは本人だけでなく、配偶者や両親の分も発行されます。資金を持っていれば、家族と一緒に移住できる点は、ドバイ不動産投資の大きなメリットといえるでしょう。
世界中から注目されているため高いリターンが期待できる
ドバイの不動産は高利回りな傾向にあります。
海外不動産投資サイトのGlobal Property Guide(グローバル・プロパティー・ガイド)の不動産相場データによると、以下のリターン数値となりました。
- 日本4.38%
- オーストラリア3.18%
- ドイツ3.12%
- アラブ首長国連邦は5.63%
また平米単価を見ると、日本が16,322ドルであるのに対し、アラブ首長国連邦は約3分の1の5,918ドル。比較的安価で購入できるうえに、ドバイの不動産を求める人は数多くいるため、高いリターンが期待できるでしょう。
さらに日本と異なって減価償却という考えがなく、不動産の価値が何年経っても変わらないのも魅力のひとつです。
長期的な成長が見込める市場
ドバイは、中東・アフリカなどのハブ空港「ドバイ国際空港」がある世界の貿易拠点であり、長期的な成長が見込まれています。
また、ドバイはこれまでも大規模な経済計画を打ち立ててきました。2021年には「ドバイ都市マスタープラン2040」を発表し、経済・観光の発展に向けて取り組んでいます。さらに2023年1月には、2033年までに経済規模を倍増させることを表明。
今後、さらなる企業進出や人口増加が期待されています。
ドバイ不動産投資のデメリット
投資家にとって魅力が多いドバイ不動産投資ですが、以下のデメリットもあります。
- ドバイ不動産では現金購入が一般的
- 注目度が高いため暴落リスクに注意
- 住所が日本にあると税制面のメリットを享受できない
どんなに好条件であっても、不動産投資には必ずリスクがあります。購入する前にリスク、特徴、仕組みなどを十分理解しましょう。
ドバイ不動産では現金購入が一般的
ドバイで不動産を購入する際は、金融機関でローンを組むことはが難しいため、現金で購入することが一般的です。そのため、まとまった資金を用意する必要があります。不動産相場が比較的安いとはいえ、事前に資金を用意しておかなければ簡単には購入できないでしょう。
またドバイでは、米国ドルと貨幣相場を連携させる固定相場制(ドルペッグ制)を採用しているため、円安のタイミングで日本から購入するのは不利だといえます。
注目度が高いため暴落リスクに注意
注目度が高い理由から、暴落リスクにも十分注意しなければなりません。
実際2009年には、政府系持株会社ドバイワールドが債務返済繰り延べを要請して「ドバイ・ショック」が発生し、世界中で経済ショックが発生して混乱しました。
特に世界中で戦争や感染症、自然災害などが発生する近年は、何があるか予測できません。不動産投資は、常にリスクをはらんでいることを念頭に置いたうえで契約を検討しましょう。
ドバイ不動産投資で想定される詐欺事例
ここでは、ドバイ不動産投資を巡る詐欺事例を2件ご紹介します。
ドバイ不動産投資詐欺では、日本国内において、日本の営業マンから投資の話を持ち掛けられるケースがほとんどです。詐欺被害に遭わないためにも、どのような事例があるのか把握しておきましょう。
プレビルド物件の購入による不動産投資詐欺
1つ目はプレビルド物件購入を巡る詐欺です。プレビルド物件とは、工事途中の物件のこと。日本の不動産投資では既に完成した物件を購入することが多いですが、海外の不動産では、物件完成前に契約するのが主流です。
プレビルド物件のリスクは、本当に完成する保証がないことです。
完成しないまま工事が頓挫する場合もあります。悪質な営業マンは完成の見通しがない不動産を契約させたり、現地に行けない人を狙って架空の不動産を契約させたりすることもあるので注意が必要です。
契約の際は、不動産会社の実績や企業情報、口コミをしっかり確認し、信頼できる業者であるか確かめましょう。
「将来値上がりする」と紹介されて高値づかみさせる詐欺
2つ目は、物件を高値づかみさせる詐欺です。
営業マンは「将来必ず値上がりする」と物件を紹介し、価格が高騰している最中に契約させます。しかし物件は結局値上がりせず、あとから高値で購入してしまったことに気づきます。
特に悪質な営業マンは「必ず儲かる」や「絶対に大丈夫」など、根拠のない言葉を並べて契約を促す傾向があります。不安な場合は、別の業者や専門家に相談するなどの対策を講じましょう。
ドバイ不動産投資でトラブルに遭った際の相談先
もしドバイ不動産投資を巡ってトラブルに巻き込まれたときは、以下の専門機関へ相談することをおすすめします。
- 日本司法支援センター(法テラス)
- 国民生活センター
- 日本弁護士連合会(法律相談センター・弁護士事務所)
無料で相談できる窓口もあるので、不安を感じた際には速やかに相談しましょう。
日本司法支援センター(法テラス)
日本司法支援センター(法テラス)は法務省が管轄している法律相談窓口です。専門家による法律相談や、弁護士の紹介を無料で行っています。
もし困窮した状態で弁護士費用が払えない際は、弁護士費用の立替えも行ってくれます。被害に対してどのように対応したらよいか分からないときは、まずは一度相談してみましょう。
参照:法テラス 公式ホームページ (houterasu.or.jp)
国民生活センター
国民生活センターは、消費者庁が管轄する独立行政法人で、国民の消費活動に関するさまざまな相談に対応しています。解決できない際には、裁判以外の解決方法であるADR(裁判外紛争解決手続)も行っており、和解仲裁の依頼もできる機関です。
国民生活センター内の「越境消費者センター」では、海外での消費トラブルにも対応しているため、ドバイでの不動産投資トラブルがあった際には相談することをおすすめします。
日本弁護士連合会(法律相談センター・弁護士事務所)
日本弁護士連合会は、日本全国の弁護士が加入している団体です。
詐欺被害に遭った際、訴訟を行って損害賠償請求をするためには弁護士に依頼する必要があります。日本弁護士連合会は全国各地に法律相談センターを設置しており、地域住民の法律相談に対応しています。
被害から時間が経過してしまうと対処ができなくなる場合もあるので、被害に遭った際は1人で解決しようとせず、迅速に相談しましょう。
まとめ:ドバイ不動産投資はメリットがあるが詐欺も発生するため要注意
ドバイは投資家にとって好条件な投資環境が整えられており、不動産投資を行うのに魅力的な国です。
しかしながら、ドバイ不動産投資の人気に目をつけた悪質業者による詐欺の可能性も否めません。完成しないプレビルド物件、物件の高値づかみ、価格の暴落などのリスクをはらんでいるので、十分注意しましょう。
不動産投資に限らず、投資にはさまざまなリスクがあるため、トラブルに巻き込まれないために、まずは知識をしっかり身につけることが大切です。万が一、ドバイ不動産投資を巡る詐欺に遭った際は、速やかに専門機関へ相談して被害を最小限にとどめましょう。