2025年2月26日、スルガ銀行がスルガ銀行不正融資被害者同盟(SI被害者同盟)の構成員および支援団体「リボーン」を対象に起こしたスラップ訴訟の第2回公判が行われた。公判後に行われた被告人側の代理人、河合弁護士の談話から、本件の背景や今後の見通しがより鮮明になった。(画像は被告側弁護団を代表して陳述するさくら共同法律事務所北村 賢二郎 弁護士のイラスト)
目次
スルガ銀行が仕掛ける典型的なスラップ訴訟の構図
河合弁護士は冒頭、「今回の訴訟は典型的なスラップ訴訟だ」と強調。スルガ銀行側の狙いは、被告らの抗議活動を萎縮させ、声を上げにくくすることにあると指摘した。
「これは、SI被害者同盟の活動がスルガ銀行にとって都合が悪く、重要な影響を与えていることを示している」と語り、SI被害者同盟メンバーの抗議活動の意義を改めて強調した。
同盟員への「人違い」訴訟の実態

(スルガ銀行側の弁護士、神谷町セントラル法律事務所 金森浩児弁護士)
今回の公判の焦点の一つは、被告に含まれた同盟員A氏に対する「人違い」の問題だった。河合弁護士は「Aさんは無関係にもかかわらず、活動が目立つという理由だけで被告にされた」と述べ、スルガ銀行側の証拠不十分な訴えを批判。
人違いである以上、スルガ銀行側がA氏への訴えを取り下る可能性が高いことも示唆した。
もしこの人違いが事実であるならば、スルガ銀行は全く関係のない人物に対して訴訟をしかけたことになるのだが、一体何を根拠に人物を特定したのか非常に気になるところだ。
訴状の問題点 – 「はちゃめちゃな内容」
スルガ銀行側の訴状について、河合弁護士は「事実をただ羅列しているだけで整合性がなく、非常に煩雑」と批判。公判中も裁判長からたびたび指摘があった。
被告側はSI被害者同盟がスルガ銀行の店舗や社長の自宅前などでスタンディングデモなどの抗議活動を行ったことは認めたうえで、「信用毀損」といった過剰な主張については否認し、適切な証拠を提出して反論したとしている。確かに道路使用許可書を提出し、路上でスタンディングデモを行うことは法律上問題のない行為だ。
裁判官の姿勢と今後の展望
続けて河合弁護士は「この訴訟がスルガ銀行の不正融資問題の派生事件であり、本流の争点は調停にある」との認識を示した。スルガ銀行側は不利な裁判結果になりそうなケースでは和解を行い、係争相手と守秘義務契約を結び手打ちを行う。したがって敗訴したことはないし、その情報も出てこない。そういう意味ではスルガ銀行側の法廷戦略が着々と進行している。
一方で、SI被害者同盟としては各個撃破されないようにスタンディングデモなどを行い、社会の注目を集めつつ、有利な条件での和解を被害者団体として勝ち取りたい思いがある。
そんな中、スルガ銀行が被害者団体をけん制する目的でスラップ訴訟を仕掛けてきているというのが、SI被害者同盟側の見解だ。
この裁判において、裁判官は和解の可能性を模索している様子だったが、弁護士は「相手の主張を事実と認める前提の和解には応じられない」と断言。スルガ銀行側の証拠も裁判官から見ても不十分なものが多かったようで、公判1回目からその指摘はあった。
被告側は今後も「自らの行動とその評価を前提とした和解」を求めていく方針を示した。
裁判の本質 – 調停での解決が鍵
河合弁護士は最後に、「この裁判に勝ったとしても、根本的な問題解決にはならない」と強調。特に重要なのは今進行中の調停。個々人が不正の証拠を集め、問題解決に向けた活動を続けることの重要性を説いた。
次回公判は2025年6月11日を予定
次回の公判は2025年6月11日を予定している。河合弁護士は今後の進展次第でデモ活動等も視野に入れていることを明かした。
スルガ銀行不正融資問題をめぐる法廷闘争は、今後も注目を集めることになりそうだ。
まとめ
今回の公判を通じて、スルガ銀行側の訴えがいかに不透明であるかが浮き彫りになった。一方で、被告側は冷静かつ理論的に反論を展開しており、今後の展開が注目される。
「投資と詐欺編集部」では引き続き、この問題を追いかけ、読者の皆様に最新情報をお届けしていく。