「この投資は絶対もうかる」「素人でも絶対稼げる」などの煽り文句を信じ、高額の教材やシステムを買っても儲からないケースが多発しています。そういう詐欺に引っかかったとき、返金や被害回復を直接申し入れても相手にされないことでしょう。
そんな時は弁護士に相談することが有効です。では弁護士はどのようにたたかってくれるのでしょうか。ここではFX取引の自動売買ツール業者や「絶対儲かる系」の業者を例に、弁護士がどのように戦うのか、垣間見てみましょう。(画像は詐欺と闘う弁護士のイメージ画像)
目次
弁護士が業者に差し込む3つの論点
弁護士は法律を武器に交渉をしてくれるスペシャリストで免許を持っているひとだけがこうした交渉を代理できます。では詐欺業者と実際にはどのように戦ってくれるのでしょうか。たとえばFX取引の自動売買ツール業者や「絶対儲かる系」の業者と戦う理論は、主に以下の3点に集約されます。
1. 契約の無効・取消し
弁護士は相手の説明の仕方が良くない点を指摘し、業者と交渉してくれます。その際の主な論点は以下のような点です。
- 説明義務違反: 金融商品取引法は、金融商品取引業者に対して、顧客に商品内容やリスクについて十分に説明する義務を課しています。自動売買ツール業者や「絶対儲かる系」業者は、この説明義務を怠り、ツールやシステムのリスクを隠蔽したり、過大な利益を謳ったりしているケースが多いです。弁護士は、業者が説明義務違反を犯していることを立証することで、顧客との契約を無効または取消し、損失を取り戻します。
- 錯誤: 顧客がツールの性能やリスクについて誤解していた場合、錯誤による契約の取消しが認められる可能性があります。例えば、「必ず儲かる」と信じて契約したものの、実際には損失が出た場合、顧客は錯誤を主張できます。
- 公序良俗違反: 「必ず儲かる」など、社会通念上著しく不適切な勧誘で契約が締結された場合、公序良俗違反を理由に契約が無効となる可能性があります。
2. 損害賠償請求
こうした論点をもとに、相手に非があること、非があると過去に裁判所が認めた実績(判例)をもとに交渉していくのですが、その過程で相手が非合法な行為を行っていると指摘も行います。例えば以下のような点です。
- 不法行為: 業者が詐欺的な行為や不当な勧誘によって顧客に損害を与えた場合、不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。弁護士は、業者の行為が違法であることを立証し、顧客が被った損害の賠償を求めます。
- 債務不履行: 契約内容に違反した場合、債務不履行責任が発生します。例えば、業者が約束したサポートを提供しなかった場合、顧客は債務不履行に基づく損害賠償請求ができます。
3. 刑事告訴
同様の被害を多数の人が受けている場合や、相手が言い逃れをしてくる場合はさらに追い打ちをかけ、警察沙汰にするべく交渉を行います。
- 詐欺罪: 業者が虚偽の説明や不正な手段で顧客を騙して金銭をだまし取った場合、詐欺罪で刑事告訴することができます。弁護士は、被害者を代理して告訴を行い、業者の刑事責任を追及します。
具体的な戦い方
弁護士は、上記のような法的根拠に基づき、以下の方法で業者と戦います。
- 内容証明郵便による請求: 業者に対して、契約の無効・取消しや損害賠償を請求する内容証明郵便を送付します。
- 交渉: 業者と交渉し、和解による解決を目指します。
- 訴訟: 交渉で解決しない場合、裁判所に訴訟を提起します。
- 刑事告訴: 刑事責任を追及するため、警察に告訴状を提出します。
弁護士はこうした交渉や法的な実力行使をちらつかせながら、実際に裁判にもつれ込む前に、示談を行いお金を取り戻すように動きます。その方が弁護士費用も少なく取り戻せるお金も多くなり、交渉期間も短くなるためです。
弁護士の役割と専門分野
弁護士は、専門的な知識と経験に基づき、以下の役割を担います。
- 法的アドバイス: 顧客の状況を把握し、適切な法的アドバイスを提供します。
- 証拠収集: 契約書、取引履歴、勧誘時の録音データなど、必要な証拠を収集します。
- 交渉・訴訟: 業者との交渉や裁判所での訴訟手続きを行います。
- 被害者支援: 被害者の精神的なケアや生活再建のサポートを行います。
とはいえ、弁護士には専門分野があります。離婚問題につい弁護士、知財に強い弁護士、刑事事件に強い弁護士、M&Aに強い弁護士などなどさまざまな法律問題があるなかで得意な分野、不得意な分野があるわけです。ですのですべての弁護士が詐欺事件に対応できるわけではありません。
ですが、弁護士に相談することで、被害者は法的知識や手続きの負担を軽減し、より有利な条件で解決を目指せる可能性が高まります。法テラスや消費者問題の窓口に相談して、適切な弁護士の紹介を受けて、投資詐欺被害の回復を図っていくことが重要になってきます。
気になる弁護士費用は?
着手金0円である代わりに、成果報酬で返金の40%以上を請求、という弁護士もいれば、相談費用が1時間5,000円で、追加の費用がさらに発生し、成功報酬も必要になる弁護士もいます。これは善し悪しではなく、契約条件なので、慎重に選ぶことが必要です。