2024年9月29日日曜日、スルガ銀行不正融資被害者同盟は沼津でデモを行いました。200名以上が参加していたデモでしたが、今回のデモは狙いがスルガ銀行の不正融資被害の存在を訴え掛けるものだけではなく、スルガ銀行による被害者団体への反撃があったことへの言及がありました。またそうした大企業のおごりを許す政治への疑問と闘う必要性にも触れられていました。
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まだスルガ銀行不正融資問題は解決していない
「私はスルガ銀行は大嫌いでございますが、沼津の人は温かい人が多いということで本当に感謝しております。そういった意味では、私は沼津の人が私と同じようにスルガ銀行の被害者にならないようにという願いも込めてマイクを握っているところでございます。」と語り始めたのは不正融資事件と長年闘う冨谷氏だ。冨谷氏はまだ問題が解決していないと強く強調しています。
「スルガの問題はもう終わったんでしょう、かぼちゃの馬車事件って終わったんだよねと、結構多くの方からお声がけをいただきます。しかしながら、スルガ銀行の問題は実はまだこれ終わってないんです。金額で申し上げますと1000億円以上、スルガ銀行は不正の問題を知ったまま被害者を潰そうとしています。この問題を風化させようとします。私がこのようにマイクを握る、これはですねスルガ銀行がすごく嫌がる方法なんですね。」(冨谷氏)
とデモを行う意義を説明しています。そして活動が長期化する中で、スルガ銀行側の反撃を受けている実情も紹介しています。
スルガ銀行の反撃、SLAPP訴訟で被害者団体に圧力
「先日と言っても、もう先月になりますけれども、私は訴訟を仕掛けられてしまいました。統一協会の問題と同じです。実は私の弁護士が紀藤正樹、山口広ということで、統一協会の問題をやっております弁護士でございます。よくテレビに出ておるんですが、その弁護士たちは統一協会からスラップ訴訟を仕掛けられております。私もスラップ訴訟を仕掛けられました。私と被害者団体の代表者がスラップ訴訟しかけられたということです。スルガ銀行は金融庁からの業務改善命令がもうそろそろ6年、6年以上解除されないまま放置されているということになっておるんですが、本当にとんでもない銀行ですよ。」
SLAPP訴訟(スラップ訴訟)は “Strategic Lawsuit Against Public Participation” の略で、日本語では「戦略的訴訟」や「威嚇訴訟」などと訳されますが、「裁判相手を攻撃するために訴訟を起こす」という意味合いです。
- 目的: 批判や反対意見を封じ込めること。訴訟そのものの勝敗よりも、相手方に経済的・精神的負担をかけることが目的です。
- 対象: 主に企業や政府機関などの強者が、批判的な意見を表明した市民団体やジャーナリストなどの弱者を標的にします。
- 訴訟内容: 名誉毀損や業務妨害などを理由に、高額の損害賠償を請求することが多いです。
- 社会的影響: 表現の自由や言論の自由を脅かす可能性があるため、民主主義社会において問題視されています。
- 対策: 一部の国や地域では、このような訴訟から市民を守るための「反SLAPP法」が制定されています。
日本では明確な反SLAPP法はありませんが、裁判所が訴訟の目的や内容を精査し、不当な訴訟を却下するなどの対応をすることがあります。冨谷氏によれば、冨谷氏をはじめとした被害者やスルガ銀行への抗議活動に関わる主要人物を狙った訴訟が起こされているようです。
「沼津の皆さん、沼津の恥だという風におっしゃってくれた沼津の方もいらっしゃるんですが、どうかこの問題を放置しないでください。やはり沼津の方がおっしゃってくださったように、この問題は沼津の恥だという風に思います。是非この沼津の恥であるスルガ銀行に対して、もう制裁を下していただきたいなと思います。」と冨谷氏は続けました。
国民全体が政治的詐欺の被害者。戦う姿勢が必要と喚起
いままで投資と詐欺でも何度か取り上げたように、スルガ銀行との長引く「闘争」に対して、SI被害者同盟はいままでも直接交渉や弁護士を介した団体交渉を繰り広げてきましたが、金融庁の指導でもスルガ銀行の姿勢は高圧的なままのようです。そして被害者団体にSLAPP訴訟という圧力をかけてくるなど、大企業の法務部門と有名弁護士事務所による法的な闘争が水面下で繰り広げられているということです。
そうした詐欺をなかったことにする姿勢に対して、被害者がとった闘う戦略がデモ行進や街頭での被害状況の説明でした。また国会議員への陳情なども織り交ぜた徹底抗戦の姿勢を打ち出し、被害者が主体になってガルスTVというyoutube番組も配信してきました。
今回のデモではもう一歩踏み込んで、政治的なメッセージの配信にも取り組んでいるように見えます。冨谷氏は金融詐欺被害と政治での被害を受けた一般市民はともに同じ詐欺被害者であると語ります。
「私はこのガルスTVというもので金融詐欺被害、多くの金融詐欺被害を発信させていただいておりますが、金融詐欺被害といえば、恐らくあなた方1人1人が金融詐欺被害の被害者じゃないかなと実は思ってます。皆さん全員が詐欺被害者です。何の詐欺かというと、これ消費税です。消費税今10%、これ自民党さんは19%まで上げようとしています。許しといていいんでしょうか。そういう意味で言うと、今回デモ行進、私は『ストップ金融詐欺被害』でデモ行進させていただきましたが、『ストップ消費税増税反対』ということで、合わせ技コラボレーションのデモをさせていただきました。」
スルガ銀行の詐欺被害者である自分たちだけが詐欺被害者ではない。政治に騙された全国民も詐欺被害者である、ともに是正のために戦おうというメッセージを送っている。
「ご来場中の皆さんが直接的に金融詐欺と関係ないよという方もいらっしゃいます。しかしながら、皆さんのご家族、ご親族、友人、会社の同僚、そういった方々がですね。騙される可能性があるということを考えれば、この問題放置できません。是非知っていただきたいなという風に思ってございます。」
スルガ銀行詐欺被害事件がまだ続いていることを述べた後に、消費税をはじめとした政治的詐欺の被害者である国民全体は、詐欺と闘うべきであるというメッセージを発信した冨谷氏。その演説のあと、伊東市の市議でれいわ新選組の犬飼このり氏が応援演説を行うなど、スルガ銀行不正融資事件の被害者たちは、問題解決のために政治的な側面からのアプローチにも取り組み始めたようだ。