2024年11月23日に地元紙が報じたところによりますと、佐賀県鳥栖市の50代男性が、出会い系サイトで知り合った日本人女性を名乗る人物から暗号資産投資の話を持ち掛けられ、4000万円を騙し取られるという事件が発生しました。(写真はAIで生成したイメージ写真です)
目次
事件の概要
2023年8月、被害者は出会い系サイトで知り合った相手から「円を暗号資産に両替することで、円安リスクを避け一定の利息を得ることができる」という儲け話をSNSで受けました。被害者は2023年11月20日までに、合計21回にわたり約4000万円を指定された口座に振り込みました。暗号資産の一部を出金しようとした際、相手から多額の手数料を要求され、詐欺であることに気付き通報にいたったということです。
被害者は、金銭的な損失を被っただけでなく、詐欺師と一度も会ったことがなく、電話で話したこともない中、21回にもわたり資金を振込、総額が4000万円にも及んでしまいました。
これだけ聞くと、「なんて馬鹿なことを」と思ってしまう人も多いかもしれません。しかし詐欺師は言葉巧みに人のこころのスキマに入り込み、いつの間にか巨額の資金をだまし取るプロです。相手は一枚も二枚も上手です。
今回の報道では詳細な手口の紹介はされていませんでしたので、これ以上の詳細は不明ですが、出会い系サイトで知り合い、巨額の金融詐欺にひかかってしまう恋愛詐欺商法は、いままでも数多く行われています。
ロマンス詐欺の手口と被害
毎日職場で一緒にいたり、家族とご飯を食べていても、食事や会話をそっちのけで、友達とLINEをしてしまうのは学生だけではありません。社会人の一人でご飯を食べながら、あるいはタバコやトイレに行くふりをしてLINEで話があう友人や知り合いと話をする機会が増えています。
恋人を探している場合は、相手と親しくなることに熱中して、正常な判断ができなくなることもあるでしょう。相手が写真や動画で大金を持っている姿を送ってきたり、高級なお店で豪遊している姿を見せられると、信じてしまうこともあります。
詐欺師はこうした心理を戦略的に活用して、被害者を虜にしていくのです。その際には以下のようなポイントを盛り込んできます。
- 信頼感の構築:詐欺師はしばしば時間をかけて被害者との信頼関係を築きます。長期にわたる対話や親しげなやり取りによって、被害者は詐欺師を信頼しやすくなります。毎日のようにLINEする、愛をささやく、たべたものを報告したりいった場所のことを話しながら、金銭面での充実を囁いてきます。(あるいはお金が足りないから儲け話に乗れなかった、など)
- 専門知識の偽装:詐欺師は暗号通貨やAIなど話題性が選考しているけれど、実態が不明な分野の専門知識を持っているかのように装います。確かな情報源や経験豊富な投資家であると主張したり、近い知り合いにそうした専門家がいると印象付けてきます。具体的なエピソードや体験談を語られることもあるでしょう。普段知ることができない分野の面白い話を聞くと、成長した気分になります。またそうした話をしてくれる詐欺師を信じてしまうようになりがちです。証拠写真のようなものを見せられることもあるかもしれません。こうした刷り込みにより、被害者はその提案やアドバイスが信頼できると感じるようになります。
- 利益の誘惑:高いリターンや短期間での大きな利益を約束することで、被害者の欲を刺激します。このような魅力的な提案は、被害者がリスクを無視してしまう原因となります。「ほらここで購入したから、これだけの利ざやが稼げたんですよ」と写真を見せてくることも多いはずです。
- 社会的証明と圧力:詐欺師はしばしば、他の多くの人々が既に投資しており、大きな利益を得ていると主張します。これにより、「みんながやっているから安全だろう」という心理が働きます。
- 感情的な操作:被害者の恐怖や貪欲、孤独などの感情を利用して、合理的な判断力を鈍らせます。恋愛感情が絡むとなおさらです。
以上のような手法は、特にオンラインの関係や投資の話において効果的です。被害者は物理的な接触がなくても、オンラインのやり取りによって信頼感や安心感を持つことがあります。したがって、オンラインでのやり取り、特に金銭的な取引を伴う場合には、常に警戒することが重要です。
詐欺師はこんなふうに近寄ってくるかも?
詐欺師が被害者に接触し、信頼を得るために使用する具体的なセリフや手法には以下のようなものがあります:
- 親しみやすい挨拶や自己紹介:
- 「こんにちは、あなたのプロフィールを見て興味を持ちました。少し話してもいいですか?」
- 「私も[共通の趣味や興味]にとても興味があります。もっと話しませんか?」
- 共感や共通の興味を見つける:
- 「私も同じことを経験したことがあります。それについて話し合えればと思います。」
- 「私たちには多くの共通点がありますね。もっと深く話をしたいです。」
- 専門知識や成功体験の共有:
- 「暗号通貨の投資でかなりの利益を上げています。あなたにもその方法を教えたいです。」
- 「私は数年間、この分野で活動してきました。確かな情報源と戦略を持っています。」
- 利益の誘惑:
- 「この投資にはほとんどリスクがなく、短期間で大きなリターンが得られます。」
- 「すでに多くの人が参加しており、皆、大きな成功を収めています。」
- 緊急性や限定性を訴える:
- 「この機会は限られた人だけに提供しています。早めに決断しないと、機会を逃してしまいますよ。」
- 「すぐに行動しないと、このようなチャンスは二度とないかもしれません。」
これらのセリフは、被害者の信頼を得るために計算されたものであり、感情的な共感や金銭的な利益を提案することで、被害者をだましやすくするために使われます。これらの言葉には注意し、特にオンラインでの知り合いや未確認の投資話には慎重に対応することが重要です。
オンラインで知り会った出会いは大切にしても良いけれど、、、
オンラインで繋がっている知り合いは、日常生活とはかけ離れた、貴重なご縁であることもあるでしょう。そうした出会いのすべてが詐欺だとはいえませんが、詐欺師が言葉巧みに詐欺被害者を騙し、お金をだまし取っているという現実から目を話してはいけません。損をしても構わない額を投資するのはよいでしょう。しかし実態が見えない相手の口車に乗って、大きな金額を動かして騙されるリスクは覚悟しておくべきです。
私は騙されない、という自信がある人を詐欺師がカモにしています。どんどん調子に乗って投資を広げると取り返しのつかない事態に落ちいってしまうかもしれないということは念頭においておいてください。