More

    近未来通信事件(2007年)

    被害額400億を超えた近未来通信事件とは

    近年は当たり前になっている携帯電話を利用した電話。電話の歴史は長く、一昔前にIP電話というインターネットを利用して電話をする方法が流行った時期がありました。(もちろん今でもIP電話はあります)

    そんな中、IP電話を利用した大規模な詐欺事件が2006年8月に掲載された新聞をきっかけに判明し、テレビのCMや新聞の広告でもIP電話を宣伝していたことから当時は、日本中に衝撃が走りました。

    その事件は近未来通信事件と呼ばれ、首謀者である石井優によって2,000人から400億円ものお金を集め、日本を震わせた豊田商事の再来とも呼ばれていました。

    今回は、近未来通信事件はどんな手口で人々を騙したのか、被害者はどうなったのかについて解説していきます。

    近未来通信事件の真相

    近未来通信は、東京都にあった電気通信事業会社です。当時、日本中でアナログ電話が主流で、IP電話はそんなに普及していない中「IP電話の回線を準備したい」「サーバーを購入したい」「配当は電話の利用料からでる」と謳い(うたい)出資者を募っていました。

    IP電話とは、先ほど紹介したようにインターネット回線を利用して通話できる電話方法を指し「料金が安い」「手間をかけずに利用できる」メリットがあります。

    また、アナログ電話が主流だった当時では、IP電話は画期的なもので当時の人々に刺さったのでしょう。後々説明しますが、近未来通信事件の被害者を増加させたのは近未来通信に対する信頼です。

    この「信頼」という言葉が、近未来通信事件を豊田商事の再来とまで人々に言わせた根源になります。

    1.新聞への広告やテレビでCMが流れたことに対する信頼

    近未来通信事件では、電話や飛び込み営業ではなく、テレビCMや新聞の広告など人々の信頼を利用した勧誘方法が採用されていました。

    商品がIP電話だったため、当時では考えられない技術的発明へ将来性をイメージさせて日頃から最先端テクノロジーに興味のある投資家をターゲットにするためです。また、最先端テクノロジーに興味のある投資家をターゲットにしたのは、それこそが投資の醍醐味であると理解していたから。

    投資とは、将来性のあるものへ出資することでそれが上手くいった時に、莫大な利益を得るのが投資家が思い描く理想。いわゆるロマンです。

    また、投資家の情報とするその会社が信頼できるかという面においてテレビのコマーシャルや新聞の広告を利用した手法は当時詐欺会社が運営しているとは考えもしませんでした。また、テレビのコマーシャルに関しては大物芸能人を起用したりして、CMを見れば、誰もが知っているほどの知名度を持ち合わせていたため、疑う余地もなかったのです。

    2.首謀者「石井優」の今と被害者の現在

    首謀者である石井優は、2023年現在も指名手配中とされており、行方は分かっておりません。また、被害者については2006年12月2日に東京、第一東京、第二東京の三弁護士会が近未来通信事件の被害者を対象に主催した被害者説明会によって提訴準備がされました。

    被害者の中には、退職金を全てつぎ込んでしまった人や投資をしてしまったことに対する自責の念から抜け出せない人もいたようです。

    なぜこんなにも被害者が出たのかを裏付ける理由が先ほど紹介したCMなどメディアを使った知名度向上のほかにもあるのです。それは、近未来通信の宣伝パンフレットに「総務省一般第二種電気通信事業者」の文言が記載されていたからです。

    つまり、国が認めたものだと人々は感じてしまいました。しかし、蓋を開けてみると国にさえ申請すれば、誰でも取得できるもので審査や調査が一切必要ないものだったのです。

    被害者から相談されても、当時の総務省は「扱っている商品が金融商品であれば金融庁」「マルチ商法であれば経済産業省」という対応をとっており、管轄内でないと、臨機応変に対応できない国の弱さがあらわになった事件といえるでしょう。

    被害に遭わないために知識がない状態で投資をしない

    被害に遭わないためには、知識がない状態で投資をしないことが一番です。とはいっても投資に絶対はないですし、損することは必ずといってあるでしょう。そこで大切なのは、インターネット、できれば本を何冊か購入してから投資するかしないかを決めることです。

    本は編集者やプロデューサーなどさまざまな人が関わるため信ぴょう性が高いものが多いと言えます。しかし、書籍に著者がその商品を扱っている会社の人物の場合は要注意です。その書籍そのものが宣伝ということも考えられるからです。わざわざお金を出して、その会社の宣伝を購入したことになるのですが、書籍になると信憑性が高く見えるためより騙されやすいと言えます。

    このような事業への投資という詐欺案件は事前にそれを見ぬくのは非常に難しいと言えます。例えば、騙すつもりはなかったが、事業がうまくいかなくなり、投資者へ利益を還元できなくなってしまった。その時点で、会社が潰れ、投資金が回収できなくなった。こうなった場合、果たしてこれを詐欺と言えるのでしょうか?これが最初から事業をきちんと実行するつもりがなく、出資金を募った場合は詐欺と言えますが、この境界線は第三者からは見抜くことは難しいですよね。

    被害者の中にも退職金を全てつぎ込んでしまった人がいましたが、投資に絶対は無い以上、投資は余剰資金で行うことが大切です。

    [まとめ]世の中にはお金を払えばできることがたくさんある

    世の中には、お金を払えばできることがたくさんあることを知りましょう。例えば、今回の近未来通信事件ではテレビCMが人々を混乱させました。テレビで宣伝するには、テレビ局によって値段はバラバラですが数百万~数億円の費用で広告を出せます。

    また、勧誘された時に、相手が推してくるメリットをインターネットや本などで調べてみるのも良いでしょう。投資にリスクは付きものですが、リスクを軽減することで投資を成功する可能性は高まります。

    そのため、日々、生活の中であらゆるものに疑問を持ち行動することが投資を成功させる鍵ではないでしょうか。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

    Related articles

    Comments

    Share article

    spot_img

    Latest articles

    Newsletter