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    競売物件で不動産投資はできる?リスクや注意点を徹底解説

    「不動産投資を考えているけれど、競売物件が安くておすすめって本当?」「競売物件で不動産投資はできるの?」このような疑問を持っている方はいませんか。

    結論からいうと、競売物件で不動産投資はできます。ただし、一般の不動産よりも買主に不利な要素が多く、リスクが高い傾向にあるといえるでしょう。なかには、トラブルを抱えた競売物件を売りつける悪質業者もいるため注意が必要です。

    この記事では、競売物件での不動産投資におけるメリットやデメリット、トラブル事例などについて詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

    競売物件とは

    投資用不動産を手に入れる方法のひとつに競売があります。競売で安く手に入れた物件を運用することも可能で、高利回りを期待する投資家も多いです。

    裁判所が競売をかけている物件

    競売物件とは、ローン不履行などを理由に差し押さえられ、裁判所が競売にかけている物件です。

    金融機関で不動産ローンを組む際、返済不能になったときは不動産を担保とする「抵当権」が設定されます。もしローンの返済が滞った場合、金融機関はローン残高回収のために抵当権を利用し、不動産を差し押さえて裁判所に競売を申し立てられるのです。

    ここで覚えておきたいのは、競売には売主がいない点です。裁判所は競売を執行しているだけであり、物件の売買をしているわけではありません。後で詳しく説明しますが、物件に対する責任は買手が負うことになります。

    競売物件の種類は一軒家に限らずアパートやマンションなどさまざま。競売物件の所有者以外であれば、誰でも入札可能です。

    物件入手の流れ

    競売物件を手に入れるための流れは、以下のようになります。

    1. 3点セット(現況調査報告書、評価書、物件明細書)を確認
    2. 入札
    3. 落札
    4. 代金納付
    5. 引き渡し

    「3点セット」と呼ばれる現況調査報告書、評価書、物件明細書を基に物件を選定し入札。オークションと同じように、一番高い金額を付けた人が物件を入手できます。入札時には売却基準価格の20%以上を保証金として納める必要があり、落札できなかった場合は返還される仕組みです。

    最高裁判所からの委託で運営されている下記のサイトでは、競売の詳しい流れや3点セットを閲覧できます。競売物件に対する理解が深まるため、興味がある方は参考にしてみてください。

    参照:ホーム | BIT 不動産競売物件情報サイト (courts.go.jp)

    不動産投資における競売物件のメリット・デメリット

    「競売物件は安い」と聞いたことがある方も多いと思いますが、その一方で多くのリスクをはらんでいます。不動産投資に限らず、投資にはリターンが大きい分だけ同等のリスクが存在することを常に把握しておきましょう。

    競売物件のメリット

    競売物件による不動産投資のメリットは以下の3つです。

    • 物件が安く手に入る
    • 手続きが簡易的
    • 物件の種類が豊富

    競売物件は、一般的な不動産相場の50%~70%の価格で手に入る傾向にあります。また競売の目的はあくまで債権回収であり、商品の売買とみなされないため消費税もかかりません。物件を安く仕入れられると、その分だけ利回りも高くなるため、投資用に検討する投資家も多いです。

    落札後、所有権移転登記や抵当権抹消登記は裁判所が行い、必要書類の提出と代金納付を済ませると物件購入手続きがすべて完了。不動産会社からの購入と比べて手続きは比較的簡易といえます。

    さらに競売物件は種類が豊富で、不動産会社では紹介してもらえないような掘り出し物の物件に出合える可能性があることも魅力のひとつでしょう。

    競売物件のデメリット

    一方で、競売物件にはデメリットも多数あります。

    たとえば以下の3つです。

    • 内見ができない
    • 瑕疵担保がない
    • ローンが通りにくい傾向

    競売物件は、物件の引き渡しまで室内の状況を確認できません。判断材料は「3点セット」の書面しかなく、購入後に白アリや雨漏りの被害などが発覚するケースが多々あります。

    上記のような欠陥があったとしても、売主が存在しない競売物件では瑕疵(かし)担保と呼ばれる欠陥物件保証が適用されません。物件の不具合に関して責任を負うのは落札者です。被害が深刻であるほど多額の修繕費が掛かり、当然利回りも低くなってしまいます。

    さらに、競売物件は金融機関のローンが通りにくい傾向にあります。

    もともとローンの返済が滞った物件であるため、金融機関が渋るのも仕方ありません。そのため、現金で一括購入をしなければならない場合もあります。競売物件が安い理由は、以上のように買手に不利な条件があるからです。

    競売物件を巡るトラブル事例

    ここからは、競売物件を利用した詐欺やトラブル事例についてご紹介します。競売物件で不動産投資を行うリスクを十分に理解し、安さだけで判断しないようにしましょう。

    瑕疵物件であることを知らされずに契約した

    1つ目に紹介する事例は「競売で安く物件が手に入った」などと勧められるままに契約し、後から瑕疵物件であることが発覚した詐欺です。

    競売物件では雨漏りや白アリ被害のほか、ゴミ屋敷状態だった、実は事故物件だったなどのケースもあります。競売で仕入れた際に瑕疵を把握したにも関わず、事実を伏せて売却する悪質業者もいるため注意が必要です。安く購入できたとしても、多額の修繕費が掛かってしまっては本末転倒です。また、事故物件であれば、不動産運用をしたとしても入居者が見込めない可能性があります。

    不動産売買において、売主は事前に瑕疵を告知する義務があるので、弁護士や専門家に相談するなどの対応をとりましょう。 なお前述したように、自分で競売物件を仕入れた場合は瑕疵担保責任は追求できません。トラブルはすべて自己責任になるため、慎重な判断が大切です。

    立ち退きトラブルがある物件だった

    競売物件には、もとの所有者による立ち退きトラブルのリスクがあります。

    そもそも競売物件は、所有者の意思とは関係なく強制的に売りに出されたもの。納得がいかなかったり、ほかに住む家がなかったりという理由から、立ち退きを拒否する人もいます。

    上記のトラブルを隠したうえで、競売で仕入れた物件の契約を「安く購入できる」と勧める悪質業者には十分気を付けましょう。

    もし立ち退きトラブルに遭遇した際は、競売物件の立ち退き交渉を自分で行わなければなりません。解決できない場合には弁護士に頼むなどして、不動産の明け渡しに関する強制執行手続きをとることになりますが、時間も労力もかかります。

    修繕トラブルや滞納トラブルを抱えていた

    修繕箇所が想像以上に多かったり、滞納トラブルを抱えていたりなども競売物件に多いトラブルです。

    安く仕入れたとしても修繕箇所が多い分、修繕費がかかります。また、マンションなどの場合、もとの所有者が滞納していた分の修繕積立金も支払わなければなりません。もし滞納が数十年にも及んでいたら多額な支出が必要です。

    自分で競売に参加した場合、たとえ瑕疵があったとしても落札後のキャンセルはできません。入札前の情報源は3セットしかないため、専門家にアドバイスを仰ぐなどして慎重に考えましょう。

    競売物件での不動産投資でトラブルに遭った際の相談先

    競売物件を巡る不動産投資詐欺の被害に遭った場合には、すぐに以下の専門機関へ相談しましょう。

    • 弁護士
    • 一般社団法人「不動産競売流通協会」
    • 宅地建物取引業保証協会
    • 一般社団法人「日本不動産仲裁機構」
    • 公益財団法人「日本賃貸住宅管理協会」
    • 公益社団法人「全国賃貸住宅経営者協会連合会(賃貸協会)」
    • 消費生活センターまたは国民生活センター

    特に、法務省が管轄の日本司法支援センター(法テラス)では無料で法律相談や弁護士紹介をしてくれるため、トラブルに巻き込まれた際には心強い味方となってくれます。

    一般社団法人「不動産競売流通協会」では消費者向けセミナーを開催しているほか、競売の相談を行っている企業もあります。

    競売物件での投資を考える際には一度相談してみてはいかがでしょうか。

    まとめ:競売物件の不動産投資にはトラブルが多いので注意!

    一般的な不動産よりも安く手に入る競売物件ですが、瑕疵物件の可能性がある、立ち退きトラブルがあるなどのリスクが潜んでいます。

    また、トラブルを抱えた競売物件を売りつける悪質業者もいるため十分注意しましょう。たとえ安く物件が手に入ったとしても、多額の修繕費が掛かったり、運用ができなくなったりしては意味がありません。

    不動産投資を行う際は今回の記事を参考にし、安さに惑わされず冷静な判断を心掛けてください。万が一トラブルに巻き込まれた際は、弁護士や専門家に相談して適切な対処をしましょう。

    投資と詐欺編集部
    投資と詐欺編集部
    「投資と詐欺」編集部です。かつては一部の富裕層や専門家だけが行う特別な活動だった投資ですが、今では一般の消費者にも未来の自分の生活を守るためにチャレンジしなくてはいけない必須科目になりました。「投資は自己責任」とよく言われるのですが、人を騙す詐欺事件は後を絶ちません。消費者が身を守りながら将来の生活に備えるための情報発信を行なっていきます。

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