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マイニングをささえたスポンサー「イーサリアム」
マイニングはわかりやすく言うと、暗号通貨のPOW(Proof of work)という取引を行う際の計算を自分のPCやGPUで手伝うことでバイト代を稼ぐお仕事です。2022年9月15日まで、マイニング報酬を払ってくれるお得意先はETH(イーサ)を取り扱うイーサリアムというプラットフォームでした。そのシェアはおおよそ90%程度。ほとんどイーサリアムがマイニングをやっているマイナーへ報酬を払っていたのでした。
エコじゃないとイーサリアムがマイニングから撤退
イーサリアムはさまざまなサービスを実現するために暗号通貨や暗号通貨を支える分散処理を活用していく情報システムを推進するイーサリアム財団が運営しています。マイニングはPCやGPUの計算に大量の電力を使うので、エコではありません。そこでイーサリアム財団はマイニングをやめて、別の方法で取引の正当性を検証することにしました。その結果、マイニングのメインスポンサーが退場してしまうことになったのです。
暗号通貨は非常に複雑なITシステムです。そのシステム開発は非常に難易度が高く、どうせシステム移行は遅れるだろうと思われていました。すでに何度も遅れてきた実績もあり、the mergeもどうせ遅れるだろうとおもわれていました。
しかし今回は有言実行でスケジュール通りPOWからPOSに移行されました。ここで多くのマイナーがマイニングをやめてしまいました。
暗号通貨市場への不信、不況の足音
また米国市場では、暗号通貨はハイテク株式と同列に扱われています。(IT企業の取り組む領域ですし、株式の代わりに暗号通貨で資金調達しているのでおなじような位置づけでとらえられています。)
2022年5月に暗号通貨LUNAが99%以上の価値を失う事件を起こしてしまいました。LUNAは1ドル1ルナに固定するというドルペッグ制をとっている暗号通貨でしたが、ヘッジファンドによる強力な売り浴びせを食らい、1ドルを割ってしまい保有している投資家が逃げ出す事態に陥り、市場の信頼を失ってしまいました。
この事件であおりをくらって様々な暗号通貨投資を行っていた企業や投資家が資産を大きく失い、破綻する例もでたほどです。暗号通貨がこんなに盛り上がっているのはおかしいんじゃないか、という市場の不安心理もあって、暗号通貨はピーク時の半額以下に下落してしまいました。
コロナによる経済停滞、インフレ懸念、ロシアのウクライナ侵攻などにより米国株式が大きく動揺し下落しているなか、暗号通貨市場も不調、マイニングも儲からないという状況に陥っています。
みんなが売っているときに買うべき
しかし投資の大原則は「みんなが買っているときに売る。みんなが売っているときに買う。」です。マイニングに必要な設備であるGPUカードやASIC機は、ピーク時の半額以下になっており、簡単に購入できるようになっています。市場が荒れている、みんながやめているときに始めるのが稼ぐための戦略だとすると、マイニングから撤退している人が多い現状は設備を集めるには最適なタイミングかもしれません。
いまマイニングは儲かるの?
じゃあいまマイニングは儲かるのでしょうか?マイニングの売り上げはマイニング報酬です。マイニングの経費は電気代と空調費(エアコンなど)と設備代(GPU代など)です。
マイニング報酬は下落の一途です。ピーク時の10分の1以下に下落しました。
電気代は高騰の一途です。倍近い値上げと感じる人もいるでしょう。
空調費は電気代と連動して高騰しているでしょう。
設備代はピーク時の半額以下になりました。
一言でいうと、すでに設備を持っていて、電気代がほとんどかからない人(太陽光発電など)でも以前ほど設けることができません。1枚のGPUで一日1000円近く儲かった人も、いまでは一日数十円の売り上げしかあがりません。
マイニングはするなら安定収益を期待せず将来のスターを探す気持ちで
まとめです。現状ではマイニングは以前ほど儲かりません。一部の例外として太陽光発電などで電気を自家生産できる人は、マイニングの方が売電よりも収益が高い可能性があります。
ですが暗号通貨の相場は一年間に半額になったり倍になったりと非常に変化の幅が大きい市場です(ボラティリティが高いと表現されます)。
いま直ぐにイーサリアムほどPOWに報酬を払う大きなプラットフォームはありませんが、草コインと呼ばれる小口のプラットフォームは日々生まれ成長しています。
そうした新しいプラットフォームは、イーサリアムの退場でフリーになったマイナーたちを取り込む戦略をとっています。いま1コインしかほれなくても、未来に100万円や500万円に成長するかもしれない草コインをコツコツ掘る、そんな時期になっています。