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駆け出し投資家のための詐欺対策入門 第一回取り込み詐欺(パクリ屋)

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a businessman sitting in a desk showing a pile of drawn buildings in his hand

詐欺にはお手本がある

他人を騙して利益を奪い取る犯罪行為である詐欺にも、ビジネスと同じで基本的な手法があるといわれています。投資における投資手法と同じように、詐欺手法にも古典や基本的な考え方があり、多くの詐欺師はお手本をもとに詐欺を行っているようです。

ビジネスに基本があるように、犯罪行為にも基本があります。結婚すると嘘をついて財産を奪い取る結婚詐欺や、親が子を心配する気持ちを利用してお金を振り込ませるオレオレ詐欺のように、詐欺には類型があります。この類型が詐欺のお手本です。詐欺師は、先行して詐欺を行っている先輩詐欺師にフランチャイズ方式でやり方を教わり上納金をしはらったり、「他社事例」を研究して、自らの詐欺手法を学んでいるといわれています。

警察官や弁護士のような専門家は、詐欺師に対抗するために詐欺手法を専門的に研究し、詐欺と闘う手法を身につけていると思います。パソコンのセキュリティ対策の専門家のようなものです。私たち一般の投資家は、そこまでの専門的な知識や手法を身に着ける必要はありませんが、ウイルス対策ソフトを購入したり、怪しいサイトに近づかないなどの基礎的な知識を持っておく必要があります。

「投資家」は、商品として提供される安全な商品よりも、利回りが高い投資や、大きな金額が動く投資に関心があります。それだけに詐欺師の格好のターゲットになってしまいます。投資信託にお金を預けるだけでは出会うことのない詐欺被害リスクともつきあっていかなければなりません。詐欺師は詐欺の専門家なので、知識で戦っても太刀打ちできないかもしれません。ですが詐欺師の基本的な手法を知っておくだけで、詐欺師と闘う弁護士などの専門家に相談する心構えができるはずです。詐欺的な手法を知り、だまされるリスクを認識することで、大きな被害を回避できることを目的に、詐欺手法への知識を身に着けることが必要です。

典型的な詐欺手法を知る

詐欺にはお手本があると先ほどお伝えしましたが、今回は「小さな取引を繰り返して信用させた後に大きな金額の取引で損をさせる」パクリ屋型詐欺に関してご紹介します。

パクリ屋(取り込み詐欺)

換金性が高い商品(食料品やパソコン、家電など)で、小売店や卸を相手に行われる詐欺手法です。小さな取引を繰り返して信用させた後に、大きな取引で代金を支払わずに会社を倒産させてしまうなどの方法で商品をだまし取り代金を支払わない詐欺取引を行います。だまし取られた商品は転売され戻ってきませんので、大きな被害につながります。

東日本大震災後は「震災復興支援のため」という名目で仕入れるパクリ屋が横行したといわれています。このほか「成長著しい〇〇業界への参入」「インバウンド需要の取り込み」などのようにトレンドを取り入れてもっともらしい名目を掲げて取引を行うため、事前に防ぐことが非常に難しい詐欺手法といえます。古くから横行している手法なので、反社チェックを行っているデータベースサービスには同じ犯行を繰り返し行う詐欺師が多数ヒットしたり、計画倒産の処理を引き受ける悪徳弁護士が繰り返し登場するといわれています。

最近ではインターネット経由でのお問い合わせも増えていますので、小さな取引を繰り返し行いやすくなっています。ネット経由で新規客が大口購入を行うことも珍しくないため、初回から大口の取引を持ち掛けるケースも増えているようです。(以前は楽天市場に出店しているある店舗から購入していたが、ディスカウントしてくれるなら一定以上のボリュームで購入する。カード決済できない金額なので、月末締め翌月払いで後払いしたいなど)

パクリ屋取り込み詐欺)への対策

事務所を訪問して状況を確認する、初回取引時に信用調査を行うことを伝える、扱い金額が多い場合は商品引渡し前に現金振り込みが必要など、こちら側が取引時に用心していることを伝えることが有効と言われています。また本当にその事業に精通しているわけではないので商品知識が十分でない相手である場合もあります。会社規模に見合わない量の発注や、品質の場合、慎重になったほうがよいかもしれません。

自分が売り上げ目標をもって営業している担当者の場合、新規取引先を開拓したり、そこで売り上げが上げるために活動しているわけなので、前のめりになってしまいがちです。上司や経営層の客観的なリスクへの配慮を示されてもどうにか説明して売り上げを取りたいと考えがちです。詐欺師は騙される側の営業心理に付け込んできます。客観的なアドバイスに沿った対応を行うべきです。(代金の半分は事前に振り込んでもらう、一定金額以上の後払いは料金後払い会社を経由するなど)

この詐欺から学ぶべき点

パクリ屋(取り込み詐欺)は商品を販売する側の営業意欲に付け込んだ詐欺です。小さな取引を繰り返して、自分がこの客を育てたという気持ちを営業担当者に持たせながら、大きな取引を持ち掛け、商品をだまし取ります。商品の売買とは異なりますが、投資は事業や投資案件に対して出資を行い、リターンを得る取り組みです。投資家に対して、小さな投資話を持ち掛け、何度か得をさせた後に、より「熟練者向けの投資でリスクもあるのですが、こんな投資案件もありますよ」とハイリスクであることを納得させたうえでの詐欺案件を持ち掛ける詐欺師もいます。

毎回投資は新規案件と思ってリスクと向き合おう

詐欺は犯罪ですが、ビジネスは自己責任です。取り込み詐欺のように、「前回儲かったから今回も大丈夫だろう」と考えると足をすくわれるケースもあります。私たちは詐欺被害回復の専門家ではないので、被害を回復するための有効な解決手段を持っているわけではありません。

「損してもここまでは大丈夫」という自分なりの投資基準をもって、投資を判断していくことが必要です。だまされても織り込み済みと言えるマインドを持つこと、だまされるかもしれないことを意識して対策を打つ姿勢が求められます。

次回は詐欺の古典ともいわれ多くの詐欺のお手本になっている「ポンジースキーム」に関して取り上げます。

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